防災・災害

「フォルモサット・ツー」(FORMOSAT-2)による新潟・福島豪雨災害の観測結果(2)

2011年7月27日から新潟県と福島県会津を中心に記録的な豪雨が降り、大雨に伴う災害が発生しました。この豪雨により、堤防の決壊や床上・床下浸水が起こり、各地で被害がもたらされています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年8月4日に引き続き、センチネルアジア*1を通じて台湾の国家実験研究院(NARL)の協力により提供された、FORMOSAT-2 (フォルモサット・ツー)*2衛星(2011年8月8日(月)、8月9日(火)9時15分頃(日本時間)観測)のデータ解析を実施しました。

図1は、今回観測した画像全体の様子を示したもので、フォルモサット・ツーのバンド1、2、3を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の見た目に近くなっています。今回の画像から河川が増水している様子および橋梁が流出している様子等を確認することができました。
図1-1: 今回観測した画像全体1
図1-1: 今回観測した画像全体1 (クリックで拡大画像へ) 観測日時: 2011年8月8日9時15分頃(日本時間) 黄色枠: 図2~4の範囲
図1-2: 今回観測した画像全体2
図1-2: 今回観測した画像全体2 (クリックで拡大画像へ) 観測日時: 2011年8月9日9時15分頃(日本時間) 黄色枠: 図5、7、8の範囲
図2: 福島県南会津郡只見町周辺の様子1(約8km×8kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月8日)、右図:災害前(2008年5月22日) (クリックで拡大画像へ)
図2: 福島県南会津郡只見町周辺の様子1(約8km×8kmのエリア)
図3: 福島県南会津郡只見町周辺の様子2(約8km×8kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月8日)、右図:災害前(2008年5月22日) (クリックで拡大画像へ)
図3: 福島県南会津郡只見町周辺の様子2(約8km×8kmのエリア)
図4: 福島県南会津郡只見町周辺の様子3(約8km×8kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月8日)、右図:災害前(2008年5月22日) (クリックで拡大画像へ)
図4: 福島県南会津郡只見町周辺の様子3(約8km×8kmのエリア)
図2から図4は災害後の2011年8月8日に観測されたFORMOSAT-2(フォルモサット・ツー)と災害前の2008年5月22日に観測された陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*3です。フォルモサット・ツーおよびアブニール・ツーのバンド4、3、2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(水色)が明瞭に区別できます。災害前後の画像を比較することにより、河川が増水している様子と、土砂崩れの跡と思われる筋が多数存在することを確認できました。
図5: 福島県大沼郡金山町周辺の様子(約8km×8kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月9日)、右図:災害前(2008年5月22日) (クリックで拡大画像へ)
図5: 福島県大沼郡金山町周辺の様子(約8km×8kmのエリア)
図6: 福島県大沼郡金山町本名駅周辺の拡大画像(約2km×2kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月9日)、右図:災害前(2008年5月22日) (クリックで拡大画像へ)
図6: 福島県大沼郡金山町本名駅周辺の拡大画像(約2km×2kmのエリア)
図5は福島県大沼郡金山町周辺を拡大した画像で、図6はJR只見線本名駅周辺を拡大したパンシャープン画像*4です。河川の増水に伴って、JR只見線本名駅周辺が冠水している様子(図の黄枠)と近郊の只見川第6橋梁が流失した様子(図の赤枠)を確認することができました。
図7: 福島県大沼郡三島町周辺の様子1(約8km×8kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月9日)、右図:災害前(2008年11月5日) (クリックで拡大画像へ)
図7: 福島県大沼郡三島町周辺の様子1(約8km×8kmのエリア)
図8: 福島県大沼郡三島町周辺の様子2(約4km×4kmのエリア) 左図:災害後(2011年8月9日)、右図:災害前(2008年11月5日) (クリックで拡大画像へ)
図8: 福島県大沼郡三島町周辺の様子2(約4km×4kmのエリア)
図7と図8は三島町周辺を拡大した画像で、河川が増水している様子と、土砂崩れの跡と思われる筋が多数存在することを確認できました。

取得された画像は、国交省、国土交通省国土技術政策総合研究所などの防災関係機関に提供しています。

なお、JAXAでは今後も、国際災害チャータやセンチネルアジアの協力を得て、当該地域の観測、データ解析を継続する予定です。

*1 センチネルアジア:

センチネルアジアはアジア太平洋地域の災害管理に資するため地球観測衛星画像から得られる災害関連情報を共有する活動です。JAXAをはじめとするアジア太平洋地域の宇宙関係機関、アジア防災センター(ADRC)をはじめとする防災関係機関、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)をはじめとする国際機関、および大学、研究所などが協力して推進しています。得られた衛星画像、解析結果などはWebサイトに公開されています。また、WebサイトのGISにより各種の関連災害情報をGISで表示・解析することが可能です。

*2 FORMOSAT-2(フォルモサット・ツー):

FORMOSAT-2は台湾2機目の高解像度地球観測衛星です。国家宇宙計画局(NSPO、現:台湾国家宇宙センター)によって開発された初のリモートセンシング衛星で、カラー情報を持つ解像度8mの光学センサと、白黒ですが解像度2mの光学センサを搭載しています。

*3 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。2009年2月15日、2009年9月16日の画像は0度で取得したものです。

*4 プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像:

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

また、フォルモサット・ツーによるパンシャープン画像とは、地上分解能2mと8mの光学センサを用いて、擬似的に地上分解能2mのカラー画像にしたものです。

©JAXA EORC