防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による桜島噴火における緊急観測結果

2009年4月9日午後3時31分に、桜島(鹿児島県)にて爆発的噴火が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では4月10日午前11時20分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により現地の緊急観測を実施しました。

図1は2009年4月10日にアブニール・ツーで観測された桜島と鹿児島市の様子です。火山活動にともなう降灰によって鹿児島湾は白く見えています。また報道によれば、鹿児島市街地でも大量の降灰が確認されたということです。
図1: 2009年4月10日観測の桜島と鹿児島市の様子
図1: 2009年4月10日観測の桜島と鹿児島市の様子 (クリックで拡大画像へ)
図2は鹿児島市宇宿付近の拡大図で、左が2009年4月10日、右は比較用として噴火前である2008年3月28日観測の画像です。噴火前の画像では建物の屋根の色が赤色や青色に見えますが、噴火後の画像では全体的に灰色に見え火山灰が降り積もっている様子が確認できます。2つはほぼ同じ時期に撮られた画像なので、降灰の影響がなければ同じような色に見えると考えられます。
図2: 鹿児島市内の拡大図(それぞれ約3km四方)
図2: 鹿児島市内の拡大図(それぞれ約3km四方) 左:噴火後(2009年4月10日観測)、右:噴火前(2008年3月28日観測) (クリックで拡大画像へ)
図3は桜島の噴火口付近の拡大図です。鹿児島地方気象台の発表では、今回の火山活動にともない火砕流が火口から東側へ約1km流下したのが確認されたということです*1。2009年4月10日観測のアブニール・ツーの画像でも火砕流が流下した跡が確認できました(図中黄枠内)。2008年3月28日の画像に加え、噴火前で雲の影響がなかった2008年12月26日観測のアブニール・ツー画像も確認したところ、この流下跡は見られなかったことから、今回の火山活動によるものと考えられます。なお、2009年4月10日観測画像の火口の左上に見えている白い塊は雲、火口の中で白く見えるのは噴煙と思われます。
図3: 桜島噴火口付近の拡大図(それぞれ約3km四方)
図3: 桜島噴火口付近の拡大図(それぞれ約3km四方) 左:噴火後(2009年4月10日観測)、右:噴火前(2008年3月28日観測) 黄色は火砕流の流下範囲と考えられる場所 (クリックで拡大画像へ)
図4は「だいち」搭載のパンクロマチック立体視センサ(プリズム) *2で2006年11月8日に観測された画像から作成した標高情報(数値地表モデル, DSM)と、今回観測のアブニール・ツー画像を重ね合わせて作成した鳥瞰図です。今回噴火した火口と火砕流の流下跡の様子を確認することができます。
図4: 桜島噴火口付近の鳥瞰図
図4: 桜島噴火口付近の鳥瞰図 (クリックで拡大画像へ)

図5は今回撮られたアブニール・ツー画像の位置を表したもので、黄色四角は図1のおよその範囲、黄色三角は図4の視線方向を示しています。

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
図5: 2009年4月10日に取得した画像全体
図5: 2009年4月10日に取得した画像全体 取得日時:2009年4月10日 午前11時20分頃 センサ:AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度:24.0°

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1参考資料:福岡管区気象台火山監視・情報センター, 鹿児島地方気象台

*2 パンクロマチック立体視センサ(プリズム)は、衛星の進行方向に対して前方・直下・後方の画像を一度に撮影することができ、撮られた3方向の画像を用いて地形情報(標高)を算出することができます。

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