高解像度土地利用土地被覆図ホームページ

AVNIR-2高解像度土地利用土地被覆図 2016年2月リリース版(バージョン16.02)

1. はじめに

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 地球観測研究センター (EORC) のALOS/ALOS-2解析研究プロジェクトおよび「分野横断型利用研究: 生態系」で作成した、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS) による高解像度土地利用土地被覆図 (以下、本プロダクトと記す) バージョン16.02 (v16.02、2016年2月版)の概要についてまとめます。

 本プロダクトは、日本全域 (一部の離島を除く) の土地被覆分類を算出したもので、植生調査や森林管理、土砂災害などの調査資料等の実利用分野や生態系研究等、様々なアプリケーションの基盤情報として活用することを目的として作成しています。
 主たる入力情報は「だいち」(ALOS) 搭載の光学センサである高性能可視近赤外放射計2型 (AVNIR-2) の観測データであり、特に、幾何は正射投影 (オルソ) 補正、輝度は大気補正および斜面勾配補正を施した、AVNIR-2 High Level Product (AVNIR-2 HLP)と呼ばれるプロダクトを使用しています。また、分類カテゴリは主要な項目にとどめることで各ユーザの目的に応じたチューニングが可能な形としています。将来的には地球環境変動観測衛星 (GCOM-C) や次期高分解能光学センサ (先進光学衛星) による土地被覆分類図への利用拡大が期待されます。

これまで6回のバージョンアップにより分類精度を高めてきましたが、今回リリースするv16.02では、前バージョンのv14.02に比べて、新たにベイズ推定の事前確率情報を導入したほか、様々な改良を加えました。主な改良点は以下の通りです。

  • - AVNIR-2データの追加 (2864シーン。v14.02では1876シーン)
  • - 日影領域の推定と、これを用いた日影影響の除去処理を追加 (v14.02では無し)
  • - AVNIR-2以外の様々な情報を活用した事前確率情報を追加 (v14.02では無し)
  • - 教師情報の追加 (v14.02の約8倍)
  • - メッシュサイズを10mに向上 (v14.02では30m)
  • - カテゴリの細分化 (v14.02は8カテゴリ→ v16.02は10カテゴリ): 広葉樹を常緑広葉樹・落葉広葉樹に細分化、針葉樹を常緑針葉樹・落葉針葉樹に細分化。

その結果、v14.02に比べて情報量と精度の両面で改善が見られます。なお、本プロダクトの作成に当たっては筑波大学との共同研究「高解像度土地利用土地被覆図の作成」(担当: 奈佐原顕郎 准教授) の一環としてアルゴリズム開発や検証点情報の収集を行っています。今後、さらなる高精度化を進め、適宜更新する予定です。

2. 使用したデータ

  • データ1. ALOS AVNIR-2 HLP (オルソ補正・大気補正・斜面補正済み高次補正プロダクト) 2864シーン (v14.02では1876シーン)
  • データ2. ALOS PRISM 5m解像度 Digital Surface Model (DSM)
  • データ3. ALOS PALSAR 25m解像度 2008年 モザイクデータセット
  • データ4. 国土地理院数値地形データ 10m解像度と、そこから求めた傾斜のラスターマップ
  • データ5. Suomi NPP 夜間光データ 500m解像度
  • データ6. オープンストリートマップによる道路網ベクターデータ(© OpenStreetMap contributors)から求めた、道路からの距離のラスターマップ
  • データ7. 北海道市町村ごとの水稲作付の有無情報 (出典: 農林水産省による「農林水産関係市町村別統計(平成26年産 水稲 北海道)」)
  • データ8. 教師情報 (SACLAJデータベースより。地上踏査および、インターネット上の情報判読) 20,332地点 (v14.02では2,687地点)

3. 分類方法

  • データ1とデータ8を用いた、カーネル密度による尤度推定 (橋本ら 2014, 日本リモートセンシング学会誌)
  • データ2を用いた、ALOS AVNIR-2観測時の地形性の日影の分布推定
  • データ3~データ8を用いた、カーネル密度による事前確率推定

以上を統合した、ベイズ推定と分類後編集 (目視) により分類しました。

4. データ形式

  • 座標系: 緯度経度直交座標系 (GRS80楕円体高、ITRF94)
  • 格納単位: 緯度経度1度単位のグリッドタイル、12,000ピクセル×12,000ライン
  • メッシュサイズ: (1/12,000)度 × (1/12,000)度 (およそ10m x 10mに相当)
  • ファイル命名規約: 例えば、LC_N45E142.tifは北緯45から46度、東経142から143度を示します。
  • 格納形式: GeoTIFF形式
  • 対象期間: 2006年~2011年 ただし、2011年東日本大震災の影響は含みません (震災前までの状況)。この期間の特定時点ではなく、平均的な状況を表します。

各画素のディジタル値は分類カテゴリのID番号であり、下記の通りです (注1):

  • #0: 未分類 (unknown)
  • #1: 水域 (water)
  • #2: 都市 (urban)
  • #3: 水田 (rice paddy)
  • #4: 畑地 (crop)
  • #5: 草地 (grass)
  • #6: 落葉広葉樹 (DBF)
  • #7: 落葉針葉樹 (DNF)
  • #8: 常緑広葉樹 (EBF)
  • #9: 常緑針葉樹 (ENF)
  • #10: 裸地 (bareland)
  • #11: 雪氷 (snow and ice)
  • #253: その他 (Other)
  • #255: データなし (nodata)

5. 精度検証

SACLAJデータベースより、教師情報とは独立の1,409箇所の検証情報を用いて、本データ (v16.02) の精度検証を行った結果、10カテゴリで全体精度76.9%、κ係数0.733を得ました (表1; 注2)。

表1 コンフュージョンマトリクス (v16.02)
CODE 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL PERCENT
1 193 2 1 0 0 0 0 0 0 1 197 98.0
2 2 221 2 1 0 0 0 0 0 3 229 96.5
3 1 2 260 18 8 1 0 0 0 1 291 89.3
4 2 2 38 71 39 5 0 6 0 5 168 42.3
5 0 0 8 15 43 5 2 7 0 1 81 53.1
6 0 1 2 6 8 65 19 17 13 0 131 49.6
7 0 0 0 0 1 1 11 0 1 0 14 78.6
8 0 0 0 0 1 4 1 33 16 0 55 60.0
9 1 0 0 1 0 12 5 29 166 0 214 77.6
10 0 4 1 1 2 0 0 0 0 21 29 72.4
TOTAL 199 232 312 113 102 93 38 92 196 32 1409 ---
PERCENT 97.0 95.3 83.3 62.8 42.2 69.9 28.9 35.9 84.7 65.6 --- 76.9

次に、参考のため前バージョン (v14.02) との精度比較を行いました。v14.02は8カテゴリの分類であり、常緑広葉樹と常緑針葉樹は区別せず「常緑樹」カテゴリ、落葉広葉樹と落葉針葉樹も区別せず「落葉樹」カテゴリとしていたため、v16.02もこれに合わせて、8カテゴリに統合し、v14.02とv16.02を同じ条件で精度検証を行いました (注3)。使用した検証情報は、上述の1,409箇所の情報のうちv14.02の教師情報として使用したものを除き、対象期間中に地上踏査によって得られた279箇所分です。この結果、8カテゴリでの全体精度は、v14.02は84.9% (表3)、v16.02は93.9% (表2)でした。

表2 精度比較用のコンフュージョンマトリクス (v16.02)
CODE 1 2 3 4 5 6+7 8+9 10 TOTAL PERCENT
1 3 0 0 0 0 0 0 1 4 75.0
2 1 26 0 0 0 0 0 1 28 92.9
3 0 1 79 1 2 1 0 0 84 94.0
4 1 0 2 4 0 0 0 0 7 57.1
5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.0
6+7 0 0 1 0 1 48 1 0 51 94.1
8+9 1 0 0 0 0 2 95 0 98 96.9
10 0 1 0 0 1 0 0 5 7 71.4
TOTAL 6 28 82 5 4 51 96 7 279 ---
PERCENT 50.0 92.9 96.3 80.0 0.0 94.1 99.0 71.4 --- 93.9
表3 精度比較用のコンフュージョンマトリクス (v14.02)
CODE 1 2 3 4 5 6 8 10 TOTAL PERCENT
1 3 1 0 0 0 0 0 0 4 75.0
2 2 20 1 0 0 0 1 4 28 71.4
3 0 0 78 2 1 0 2 1 84 92.9
4 0 1 5 1 0 0 0 0 7 14.3
5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.0
6+7 1 0 1 4 0 38 7 0 51 0.7
8+9 0 2 2 2 0 2 90 0 98 0.9
10 1 2 0 1 1 0 0 2 7 28.6
TOTAL 7 26 87 10 2 40 100 7 279 ---
PERCENT 42.9 76.9 89.7 10.0 0.0 95.0 90.0 28.6 --- 84.9

図1から3に高解像度土地被覆図v16.02の一例を示します。

図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図(Ver.16.02)
図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.16.02)

図2: 高解像度土地利用土地被覆図v14.02(左図)とv16.02(右図)の分類結果の比較例(北海道東部付近)
図2: v14.02(左図)とv16.02(右図)の分類結果の比較例(北海道東部付近)

図3: 高解像度土地利用土地被覆図v14.02(左図)とv16.02(右図)の分類結果の比較例(茨城県つくば市付近)
図3: v14.02(左図)とv16.02(右図)の分類結果の比較例(茨城県つくば市付近)

リファレンス

1) 橋本秀太郎, 田殿武雄, 小野里雅彦, 堀雅裕 (2014) 多時期光学観測データを用いた高精度土地被覆分類手法の開発, 日本リモートセンシング学会誌, 34 (2), 102-112.

  • 注1: 分類カテゴリのID番号は、v14.02以前まで#6は「落葉樹」、#8は「常緑樹」であり、#7と#9は使っていなかったことにご注意下さい。
  • 注2: 精度検証は、母集団からのランダムサンプリングとは言いがたいため、κ係数も含めて、あくまで参考に留めておくことが望ましい。
  • 注3: 一般的に土地被覆図の全体精度は、カテゴリ数が増えるほど低下するため、カテゴリ設定やカテゴリ数の違う条件のもとでは全体精度の増減や相互比較は議論できません。

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