Today’s Earth (TE)は、JAXAが東京大学と共同で開発している陸面水文量シミュレーションシステムです。 本システムでは、時々刻々と変化する気象状況に応じて、地表面や河川の状態を数値計算から導き出し、その結果をデータや画像として提供しています。
TEシステムは陸面過程モデルMATSIRO[1] (Minimal Advanced Treatments of Surface Interaction and Runoff)と河川追跡モデルCaMa-Flood[2] (Catchment-based Macro-scale Floodplain)により構成されています。
システムではまず、外部から与えられる気象データ(例:衛星観測、再解析、数値予報データ等)に基づいて、MATSIRO において陸面と大気との水・エネルギーのやり取りを計算し、地表面における様々な変数を出力します。このうち、地表面からの流出についてはHorton流出、地下流出についてはTOPMODEL[3] を発展させた手法に基づきそれぞれ計算されます。
こうして計算された総流出量に基づき、CaMa-Floodでは氾濫原を考慮した水力学的計算が行われます。このモデルの中で河川は長方形水路、氾濫原はそこからの斜面でそれぞれ表現されており、各格子において局所慣性方程式 [4]を解くことで流量や氾濫面積割合といった河川にまつわる物理量を導くことができます。
TEシステムでは計50を超える物理量を計算しており、 DATA ACCESSページから登録することでそのすべてをnetCDF形式のデータセットとして誰でも利用することができます。そのうち主要なものについては、モニターページから登録なしで画像を閲覧・ダウンロードすることもできます。 モニターページでは単に物理量を可視化しているだけでなく、その現象の重大さ・甚大さが一目で分かるよう、平年値からの偏差や再帰期間(何年に一度の規模の現象か)といった指標も併せて可視化しており、専門的な知識がなくても「極端な現象がいつどこで起こっているのか」を見つけることができるようになっています。