2 3 4
PR 月平均降雨頂高度


 図はPRにより観測された1998年7月と1998年1月の月平均降雨頂高度(降雨の最上端で海面からの高度を示す)の全球分布です。

 アフリカなどの大陸に見られるように、陸上では海上よりも降雨の頂きが高い雨が観測されていることがわかります。これは陸上では海上よりも地表面が暖められやすく、対流活動が発達しやすいことによります。

 南太平洋では南米の沿岸から遠ざかるに従い、徐々に降雨頂が高くなっています。このような傾向は今まで船舶の観測等によって指摘されていましたが、このような広い範囲にわたって観測されたのは初めてです。

 また、チベット高原のような標高の高い地域でも降雨が観測されています。この降水によって高い高度に放出される潜熱は、モンスーンをはじめとした大気の大循環に大きな影響を与えます。

 これまで雲の高さについては気象衛星などで観測することは可能でしたが、PRによって初めて雲の内部で降水がどの高さまで存在しているかを、直接グローバルに観測することが可能になりました。これは大気科学研究への利用のみならず、降雨減衰の影響を受ける衛星通信システムの設計にも役立つなど、幅広い分野への貢献が期待されます。


Image(336kB) Gallery English