はじめに

TRMMミッションの目的

<< 地球の大気循環の動力源である「熱帯降雨」 >>

 降雨は気候変動のメカニズムを解明するために必要な要素である水循環の中心的な役割を担っています。特に熱帯・亜熱帯域は地球全体の降雨の2/3以上を占め、降水現象に伴う大気加熱の効果 により地球全体の大気循環の動力源となっていると考えられています。
 TRMMはそれらのメカニズムを解明するために、5つの観測機器を搭載して、観測点の少ない熱帯海洋域を含む地球規模での降雨観測を目指しています。TRMMの観測により、気候変動研究にとって非常に貴重なデータが蓄積され、気候システムの理解やエルニーニョに関わる異常気象の解明、さらに災害防止のための洪水予報などに貢献すると期待されています。

熱帯降雨と大気の循環
通常年の大気循環 エルニーニョの都市の大気循環
  • 熱帯降雨波、地球大気循環の主要な「熱エンジン」。その定量的観測は、 気候変動や
    異常気象の研究に不可欠。
  • 可視赤外センサでは直接観測できない。
 
<< 地球観測ミッションにおける 降雨レーダ(PR)の位置づけ >>
  • 世界初・唯一の衛星搭載降雨レーダ → 様々な開発要素を克服。
  • 初めての能動型フェーズドアレイ方式を採用 → 高速スキャンを行うため、128個の送受信機を持つ。
  • 初めての国際ミッション → 日米協力体制のもと、衛星開発やアルゴリズム開発等が行われた。
  • 低い軌道高度 (350km)→ 原子状酸素への対策 ( MLI としてベータクロス、Z−93塗料の使用)
降雨レーダ(PR) PRの断面図