TANSO-CAI 概要
TANSO-CAIは、TANSO-FTSのより正確なデータ導出のために、雲およびエアロソル特性を導出する放射計です。中心波長は、モーメント解析から決定されます。TANSO-CAIは、エアロソルの空間分布と雲被覆を検出するために、TANSO-FTSに比べて、より連続的で、より広い視野と空間分解能を有します。帯幅は、3日間の44周回で隙間ができないよう、±36.1 °の広さがあります。TANSO-CAIには、光学ユニットおよび電子ユニットの2つのユニットがあります。光学ユニットには3つの望遠鏡と、アナログ信号プロセッサがあります。電子ユニットにはデータ処理、および、衛星とのテレメトリ・コマンド転送インターフェースの機能があります。電子機器の全ての部品に冗長性があります。
TANSO-CAI緒元バンド | 中心波長(µm) | 波長幅(nm) | 分解能(IFOV)(km) | 画素 | 検出器 | SNR(打ち上げ前) (測定値) |
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1 | 0.380 | 20 | 0.5 | 2000 | Si | >200 |
2 | 0.674 | 20 | 0.5 | 2000 | Si | >200 |
3 | 0.870 | 20 | 0.5 | 2000 | Si | >200 |
4 | 1.60 | 90 | 1.5 | 500 | InGaAs | >200 |
光学設計
TANSO-CAIには3つの望遠鏡があります。バンド1用に1つ、バンド2および3用に1つ、バンド4用に1つです。4つのスペクトルバンドの、光学効率や検出器感度を含む分光応答は、下図に示す通りです。バンド4は、温度依存性の高い、InGaAs検出器のカットオフ波長域を遮蔽しています。バンド1、2、3には、72.2 °の広い視野(FOV)があり、帯幅は、赤道上の軌道パス間隔(910 km)より大きいです。バンド4は512画素の検出器を使用しており、広さ60.0 °の視野に限定されますが、これは地上では750 kmの帯幅に相当します。
TANSO-CAIの、PFMバンド1(左上)、2(右上)、3(左下)、4(右下)の総合分光応答。 (グラフで用いたデータはこちら)
信号処理
バンド1、2、3は、温度制御なしの2048画素1次元Si-CCDアレイ検出器を使用しています。軌道上の推定温度変動は ±1 °Cより小さくなっています。バンド4は512画素の1次元InGaAs検出器を使用おり、暗電流を最小にするため、1段熱電冷却器により0±0.5 °Cに制御されています。InGaAs検出器アレイの各画素に個別のアンプがあります。暗電流レベルは、夜側のデータを取得することにより、打ち上げ前と軌道上の両方で監視を行っています。各バンドの信号は多重化され、アナログ-デジタル変換されます。そして、GPS時刻、衛星位置、積分時間などのテレメトリデータが付加され、MDPに転送されます。全てのTANSO-CAIバンドにおいて、積分時間が長い程、SNRが改善されますが、ダイナミックレンジは減少します。したがって、SNRやダイナミックレンジを最適化するために、季節と緯度に応じて、20%増分で32レベルの積分時間を、コマンドで慎重に選択する必要があります。TANSO-CAIの全4バンドは、SNRが200より良くなるように設計されています。