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航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L)によるタイ豪雨災害の観測結果について
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、9月24日から27日まで航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L : L-band - Polarimetric and interferometry - Synthetic Aperture Radar)によりタイ王国での豪雨災害の観測を実施しました。
現在、雨期であるタイ国では豪雨のために7月中旬頃から断続的に洪水が発生し、合計で100人以上の死亡者が出ている他、農地への被害も甚大なものとなっています。被災状況の迅速な把握が急務となっていることを踏まえ、今回の観測では、タイ国北部・中部に位置するNakhon Sawan(ナコンサワン)県 、Chainat(チャイナ)県、Sing Buri(シンブリ)県、Ayudhya(アユタヤ)県におけるChao Phraya(チャオプラヤ)川沿いの被災地域を対象としました。
豪雨直後は対象地域が雲に覆われ、光学センサでは被災直後の状況を把握することが困難となることが多いです。しかし、今回使用したPi-SAR-Lは雲を透過することが可能なマイクロ波センサを利用して観測したため、天候に関わらず洪水により冠水した水田等の耕作地帯を捉えることができました。
本年度、JAXAは、衛星・航空機等を利用して、タイ国のGISTDA(Geo-Informatics and Space Technology Development Agency)と、洪水、沿岸浸食、米収量の3分野をテーマとしたリモートセンシングに関する共同研究を実施しており、Lバンド合成開口レーダがタイ国でも有効であることについて、共同実証しています。今回の豪雨災害の観測・解析はその一環として行われました。
今後は、この共同研究を継続するとともに、研究成果を陸域観測技術衛星(ALOS-2)へと反映していく予定です。図1は、2011年9月24日に観測したChao Phraya(チャオプラヤ)川沿いのNakhon Sawan(ナコンサワン)県 、Chainat(チャイナ)県およびSing Buri(シンブリ)県、Ayudhya(アユタヤ)県の3つ観測地域のPi-SAR-L画像を示しています。画像の暗い部分が浸水していることを示しています。川沿いの地域が広域に渡って浸水していることが確認できます。