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陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)初期機能確認期間中の観測画像について (その5・船舶編)

紹介する各観測画像は、「だいち2号」 (ALOS-2) に搭載されたLバンド合成開口レーダ (PALSAR-2) の試験電波発射により取得されたものです。現在、「だいち2号」観測データの品質を向上させるため、校正・検証を行っています。観測データの一般利用者への提供は11月下旬を予定しています。

1:PALSAR-2は、地殻変動や地球環境の監視に適したLバンドの周波数を用いた衛星搭載の合成開口レーダとしては世界唯一のもので、昼夜や天候によらず地表の画像を取得することができます。

1. 東京湾の観測結果

2014年8月29日にPALSAR-2の高分解能(3m)モードで東京湾を含む領域の観測を行いました。図1に観測範囲、図2に観測結果画像、図3に観測結果から確認できた船舶の例を示します。

3mという高い分解能によって、船舶の進行方向や詳細な形状がとらえられているという点にご注目ください。例えば、図3中図でとらえられている船舶は、特徴的な形状からバラ積み貨物船と推定できます。船体上の四角形が並んでいる部分が積み込みのハッチに相当します。PALSAR-2では一度に広範囲かつ詳細な画像を得られ、画像上の見え方から船舶の種類を推定することが可能です。
図1: 今回取得した画像全体と位置関係
図1: 今回取得した画像全体と位置関係 取得日時: 2009年2月10日 午前9時24分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: +10.0度 黄枠: 図2, 3の範囲

図2、3は火災による影響が確認できた箇所の拡大画像で、それぞれの位置を図1に黄枠で示しています。図2左は2月10日の観測画像、右は火災前の2006年9月15日に観測された画像です。左の画像では、火災によって焼失したと考えられる領域が黒く見え、この焼失面積は雲で見えない部分を除き約130平方kmと推定できました。焼失エリアの縁辺には未だ煙が上がっている様子も確認できます。 また、図3の左は2月10日の観測画像、右が火災前の2008年8月5日に観測された画像です。黄色枠で示した場所は活発な火災の炎が確認できました。雲と火災による煙の間に約2kmに渡り細い帯状の赤い炎が見えます。

この画像はセンチネルアジアを通じてオーストラリア政府機関へ提供しました。
図2: 火災により焼失したと考えられる地域の拡大(約30km四方のエリア)
図2: 火災により焼失したと考えられる地域の拡大(約30km四方のエリア) (左: 被災後, 右: 被災前, フォールスカラー画像*2) (クリックで拡大画像へ)
図3: 延焼中と考えられる地域の拡大(約3km四方)
図3: 延焼中と考えられる地域の拡大(約3km四方) (左:被災後, 右:被災前, フォールスカラー画像*2) (クリックで拡大画像へ) 黄色枠は火災による炎が見える箇所を示す

*1: 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2009年2月10日の画像は東向き10度で取得しました。

*2: フォールスカラー画像:

AVNIR-2のバンド4, 3, 2を用い、植生を赤く強調しているため火災による焼失など地表面の変化が見やすくなります。

JAXA EORC