画像ライブラリー
「テラサー・エックス」(TerraSAR-X)による新潟豪雨災害の観測結果
2011年7月27日から新潟県中越地方と下越地方を中心に局地的な豪雨が降り、大雨に伴う災害が発生しました。この豪雨により、堤防の決壊や床上・床下浸水が起こり、各地で被害がもたらされました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、国際災害チャータを通じて、ドイツ航空宇宙センター(DLR)の協力により提供された、TerraSAR-X(テラサー・エックス)*1衛星の観測データの解析を実施しました。
図1は、TerraSAR-Xの新潟県の画像で、災害前の2010年11月17日5時51分(日本時間、以下同じ)観測の画像を赤に、災害後の2011年7月30日17時28分の画像を緑と青に割り当てたカラー合成画像です。この図で赤色の個所は、災害後に後方散乱(画像の明るさに相当)が小さくなったことを示し、冠水した状況が考えられます。信濃川の周辺が赤くなっていることにより、災害前より川幅が広がり、まわりの水田が冠水しているなどの状況が考えられます。ただし、画像右下の山間部に関しては、2時期の画像の観測方向の違いにより、赤と青の色が表れており、評価に資する解析結果が得られませんでした。
図2は、同じTerraSAR-Xの災害前後のデータを使用し、加茂市付近の変化個所を拡大表示したものです。災害前後のデータを目視により判読し、被災個所(広域にわたり浸水被害が生じていると想定される区域)を黄色の円で示しました。
取得された画像は、内閣府、国交省、農水省、新潟県、他 防災関係機関に提供しています。
なお、JAXAでは今後も、国際災害チャータやセンチネルアジアの協力を得て、当該地域の観測、データ解析を継続する予定です。
*1 TerraSAR-X(テラサー・エックス):
TerraSAR-Xは、DLR(ドイツ航空宇宙センター)およびEADS Astrium社が共同で開発・運用している地球観測衛星で、Xバンド合成開口レーダを搭載しています。このレーダは、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR)と原理は同様ですが、PALSARとは異なる波長のマイクロ波を用いて観測を行っています。
JAXA EORC