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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるメキシコ湾原油流出事故の観測結果について

2010年4月20日に米国ルイジアナ州ニューオーリンズ沖合の海底油田で発生した天然ガスの噴出と爆発に伴う海底からの原油の流出はその後も継続しており、一日27億円の損失をだしているといわれています。宇宙航空研究開発機構では「だいち」に搭載されたレーダー(PALSAR)を用いて2010年5月24日1時20分(日本時間)に現地を観測し、いまだに広大な範囲が油に覆われている事を確認しました。図1はPALSARの広観測域モードを利用して、東西方向350km、南北方向700kmを観測した画像です。レーダーは自分で信号を発射し、地表からの反射を観測します。海面を漂う油は暗く見える特徴がありますので、画像中暗いところは油と考えられます。まわりのやや明るいのは海面です、また、陸域はそれ比べて明るく映ります。油で覆われた領域は黄線でかこったところで、その大きさは約250km四方に広がっています。一方、図2は国際宇宙ステーションに搭乗中の野口宇宙飛行士がこの約20日前の5月4日に撮影した画像です。太陽光が海上を漂う油により全反射し、そのときの油の広がりを確認できます。2枚の比較から、5月4日以降、油領域が大きく広がった事がわかります。
図1: ALOS/PALSARで観測したメキシコ湾オイル流出状況。×印は新規海底油田の爆発地点を示す。
図1: ALOS/PALSARで観測したメキシコ湾オイル流出状況。×印は新規海底油田の爆発地点を示す。
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図2: 国際宇宙ステーションから野口宇宙飛行士が撮影した原油流出事故現場
図2: 国際宇宙ステーションから野口宇宙飛行士が撮影した原油流出事故現場

出典

PALSARはPhased Array Type L-band Synthetic Aperture Radarの略で、天候、昼夜の別なく地球を高分解能で観測できるレーダです。

JAXA EORC