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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による2010年12月イラン南東部地震にともなう緊急観測

2010年12月21日3時42分頃(日本時間、以下同じ)、イラン南東部(北緯28.49°、東経59.12°、深さ11.8km)を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、少なくとも7人が亡くなるなど多くの被害をもたらしました(地震の規模・位置及び被害状況については米国地質調査所(USGS)による発表を参照)。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2011年1月1日3時頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による緊急観測を実施しました。本観測では2010年10月1日に同じ軌道から取得した画像と比較し、地震に伴った地殻変動の検出を試みました。「だいち」は南から北へ飛行しながら、震央を含む領域を観測しました。

青枠は図2で示すPALSAR観測領域を表します。赤い星印は本地震の震央位置を示しています。
図1: 全体図
図1: 全体図(数値標高データはSRTM3を使用)
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図2 PALSAR差分干渉画像(地殻変動図)
図2 PALSAR差分干渉画像(地殻変動図)
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図2 地震後のPALSAR強度画像
図2 地震後のPALSAR強度画像
(Pi-SAR-Lはクリックで拡大画像へ)
地震に伴う地殻変動を検出するため、地震前後に取得したPALSARデータの差分干渉解析(DInSAR解析)を行いました。図2左は地震前(2010年10月1日)と地震後(2011年1月1日)のPALSARデータから得られた差分干渉画像(地殻変動図)、図2右は地震後の強度画像を示したものです。図2左の差分干渉画像から、明瞭な干渉縞(虹色の縞々)が確認できます。干渉縞は断層運動に伴う(衛星視線方向への)地殻変動を表しており、地殻変動量は大きい所で25cm程度あったと思われます。また、干渉縞のパターンから、本地震は北東-南西方向に走行を持つ右横ずれ断層が関与した地震である可能性が考えられます。今回「だいち」による観測から2010年イラン南東部地震に伴う地殻変動が明らかになり、震源断層のメカニズムに関する情報が得られました。

(注1) パルサー(PALSAR):

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮影が可能です。

(注2) 差分干渉処理:

PALSARは『2つのデータ取得時(例えば地震の前と後)における衛星-地面間の距離』に変化があった場合、それを高い精度で検出することが可能です。地震前後のデータを比較すると、地震によって発生した地面の隆起や沈降などの地殻変動は、衛星-地面間の距離の差となり、画像では干渉縞として表わされます。本例では、青→緑→黄→赤→青の色の変化は、地面が衛星に近づくことを、逆の色の変化は地面が衛星から遠ざかることを表します。(今回の観測では画像の西側から東側に向けて観測しているので、地面が衛星に近づく場合は西向きの水平変動もしくは隆起を、地面が衛星から遠ざかる場合は東向きの水平変動もしくは沈降、を意味します)。なお、色の一周期は11.8cm分の距離変化(地殻変動;変動量は画像内での相対的な値)を表します。
JAXA EORC