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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるブラジル・グランデ島の大雨被害にともなう観測結果
2009年12月30日から降り始めた大雨により土砂崩れや洪水が発生したブラジルリオ・デ・ジャネイロ州西部にあるグランデ島において、2010年1月2日11時2分頃(日本時間、以下同じ)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダー(PALSAR;パルサー)による観測が実施されました。PALSARは雲に影響されずに地表を観測することができ、水害の多い時期でも天候に左右されず地表の観測を行うことができます。今回の観測では、高分解能モードを用い、オフナディア角34.3度で画像を取得しました。この画像を、災害前の2009年2月14日に同モードおよび同オフナディア角で取得した画像と比較した結果、今回の大雨による土砂災害などと思われる地表面の変化が確認されました。また、これらの画像は数値標高データ(SRTM)を用いて、地形の勾配に由来する明るさをとりのぞく「斜面勾配補正」をおこない、変化の抽出を際立たせるようにしています。
図2は、災害後の2010年1月2日にPALSARにより取得した画像です。中央東側に位置する小島が今回土砂災害などがあったとされるグランデ島です。この画像を部分的に拡大したものを図3~図4に示します。
図3は、グランデ島バナナル海岸周辺の拡大図です。災害時土砂が流動してできたと見られる、暗い領域が見られます。
図4グランデ島北東部の拡大図です。災害後、丸枠の領域の岬の一部に、土砂災害と思われる暗い領域が見られます。図5は図3、図4で拡大した領域に、等高線をカラー表示したものを重ねました。これにより丸枠で示した領域が斜面に沿っていると考えられ、これらの領域で土砂災害が発生したと考える一因となります。
これらの結果は水面や、露出した地面が暗く写るというLバンド合成開口レーダの特性を利用し、災害前後の画像の比較により水害や土砂災害の状況を推定したものであり、必ずしも現地の状況と一致するわけではありません。JAXA EORC