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「だいち2号」による口永良部島噴火の観測結果
概要
- 「だいち2号」搭載PALSAR-2(パルサー2)により2015年5月29日、6月1日に口永良部島の観測を実施した。
- 噴火によると見られる火口の地形の変化が認められた。
- 火口の周辺部でも、降灰や火砕流などによる地表の状態の変化が見られる。
5月29日午前10時頃(日本時間、以下同じ)に爆発的な噴火が発生した口永良部島新岳について、JAXAは、内閣府、気象庁、国交省九州地整等政府関係機関からの要請により、同日12時54分頃に「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測を行い、データを提供しました。
JAXAは内閣府との協定に基づき、日本国内で災害が発生した場合、災害状況の把握を目的として「だいち2号」の観測データを防災関係機関に提供する取り決めを結んでおり、今回の緊急観測もそれに基づいて行われました。
なお、防災関係機関へのデータの提供に併せて、JAXA地球観測研究センターでも独自に、パルサー2の観測結果をもとに噴火の様子について解析を行いました。
図1に今回の観測範囲を示します。
図3:口永良部島の噴火前後のPALSAR-2画像の比較
図4は、噴火前の観測画像を紫色、噴火後の観測画像を緑色にして重ね合わせたカラー合成画像で、噴火後に画像が暗くなった部分が紫色、明るくなった部分が緑色で示されます。火口の近傍では、火口の形状が変化したためと見られる局所的な色の変化が見られます。また、火口の周囲のやや広い範囲(図中の白い円内)でも色の変化が見られ、降灰や火砕流などによる地表の状態の変化と見られます。本画像をGoogle Earth上で表示するためのファイル(KMZファイル)も併せて提供します。
図5は噴火前(2014年11月14日)と噴火後(2015年5月29日)に取得されたデータを用いて、差分干渉解析により地殻変動成分を抽出したものです。図中の白円で囲った新岳周辺では、干渉性が低下し有意な変動量が得られませんでしたが、これは噴火に伴う激しい地形の変形と火砕流を含む噴出物の影響によるものと考えられ、図4で色が変化している領域もここに含まれています。島内の他の部分については大きな地殻変動は見られませんでした。
(2015年6月2日更新)
本画像(2015年5月29日12時54分頃)の観測に続けて、5月29日23時44分頃、6月1日12時19分頃にも観測を行い、それぞれ同様の差分干渉解析を行いました。これらの3つの差分干渉画像をGoogle Earth上で表示するためのファイル(KMZファイル)も併せて提供します。
(本KMZファイルには、5月29日12時54分頃(図5と同じ)、5月29日23時44分頃、6月1日12時19分頃の観測データによる差分解析結果が含まれています)
参考
JAXAの火山噴火に対する観測の取り組み
JAXAは気象庁地震火山部との共同研究協定に基づき、火山噴火予知連絡会に設置された「衛星解析WG(火山WG)」により監視・観測体制の充実等が必要な火山と指定された47火山について、だいち2号による定期的な観測を実施しています。また、噴火等の異常時には火山WGからの要請を受け、だいち2号による緊急観測を実施しています。