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「だいち2号」によるハワイ・キラウェア火山噴火および地震の観測結果について(2)

Posted: May 23, 2018, 9:00 (UTC)
Updated: Jun. 1, 2018, 8:00 (UTC)

概要

  • ハワイ島キラウェア火山において、2018年5月3日から噴火活動が継続している。
  • JAXAは5月22日に「だいち2号」による観測を行い、地殻変動および溶岩流の様子を捉えた。
  • 5月26日(日本時間27日)の観測画像から、レイラニ・エステート周辺の変動域の移動とハレマウマウ火口周辺の変動域の拡大を捉えた。
  • 5月30日の観測画像から、ハレマウマウ火口が拡大している様子を捉えた。
  • データは現地関係機関へ提供しており、夜間あるいは雲や噴煙の下でも地表を観測可能な「だいち2号」の特性を活かし、火山活動の監視に貢献している。

ハワイ島キラウェア火山において、2018年5月3日より継続している噴火活動について、JAXAは国際災害チャーター等からの要請に基づき、「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」により観測を行っています。表1に観測の概要を、図1に観測範囲を示します。

図1: ハワイ島の地形図と「だいち2号」による観測範囲
図1: ハワイ島の地形図と「だいち2号」による観測範囲。赤線が表1の①、青線が②、緑線が③の観測範囲を表す。黒線は図6の対象範囲。
表1:「だいち2号」による観測の概要
観測日(UTC) 軌道番号 観測モード 偏波 観測方向 ビーム番号
2018年5月22日89Stripmap 10mHH+HVF2-6
2018年5月26日185ScanSARHH+HVW2
2018年5月30日85Stripmap 3mHHU2-6
図2は表1①の2018年5月22日の観測データと2018年5月8日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。この画像は衛星視線方向(Illumination)の地表面の変位量を色で表し、この14日間で地表が衛星に近づく方向に動いた場合には青色(寒色系)、衛星から遠ざかる方向に動いた場合は赤色(暖色系)に変化することを意味しています。この解析結果では、画像のほぼ中央を境にして、北側ではレイラニ・エステート(Leilani Estates)近郊で最大150 cm程度の衛星に近づく大きな変動(隆起もしくは西向き)、南側でも数十cmの衛星から遠ざかる変動(沈降もしくは東向き)が観測されました。
図2: 2018年5月8日と2018年2月27日の観測データを用いた差分干渉画像
図2: 2018年5月22日と2018年5月8日の観測データを用いた差分干渉画像。
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図3は図2と同様の観測データを用いたMultiple Aperture Interferometry画像です。Multiple Aperture Interferometry(MAI)は衛星進行方向の変位量を表し、 地表が衛星進行方向と同じ方向に動いた場合は赤色(暖色系)、逆向きに動いた場合には青色(寒色系)に変化することを意味しています。 この解析結果では、画像のほぼ中央を境にして、北側ではレイラニ・エステート(Leilani Estates)近郊で最大70 cm程度の衛星進行方向(ほぼ北向き)の変動、 南側では最大110 cm程度の衛星進行方向と逆向き(ほぼ南向き)に遠ざかる変動が観測されました。
図3: 2018年5月22日と2018年5月8日の観測データを用いたMultiple Aperture Interferometry画像
図3: 2018年5月22日と2018年5月8日の観測データを用いたMultiple Aperture Interferometry画像。
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図4は、赤色に2月27日のHV偏波、緑色に5月22日のHV偏波、青色に5月22日のHH偏波の強度画像を割りあてた色合成画像で、火口の割れ目や溶岩流が赤色に見える着色になっています。図5にはレイラニ・エステート(Leilani Estates)付近の拡大図(図4の赤枠の領域)を示します。
図4: 2018年5月22日と2018年2月27日の観測データを用いた強度画像のカラー合成
図4: 2018年5月22日と2018年2月27日の観測データを用いた強度画像のカラー合成。
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図5: 図4の赤枠部分の拡大図
図5: 図4の赤枠部分の拡大図。
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図6は表1②の2018年5月26日の観測データと2018年5月12日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。前回の干渉画像(1月20日と5月12日の干渉画像1月25日と5月17日の干渉画像)と比較すると、レイラニ・エステート(Leilani Estates)周辺の変動域は東に移動していることがわかります。また、ハレマウマウ(Halemaumau)火口周辺では、前回の干渉画像と比較すると変動域が広がっていることがわかりました。
図6:2018年5月26日と2018年5月12日の観測データを用いた差分干渉画像
図6:2018年5月26日と2018年5月12日の観測データを用いた差分干渉画像。
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図7にはハレマウマウ火口周辺における、表1の③5月30日と5月17日の強度画像の比較を示します。爆発的噴火直後の5月17日の画像と比べ火口(黒い部分)がより大きくなっています。
  • 図7:2018年1月25日と2018年5月17日の観測データを用いた差分干渉画像
  • 図7:2018年1月25日と2018年5月17日の観測データを用いた差分干渉画像
図7: 2018年5月30日と2018年5月17日の強度画像(HH偏波)の比較。矢印がハレマウマウ火口を表す。
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JAXAでは今後も「だいち2号」でハワイ島の観測を続けていく予定です。
JAXA EORC