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「だいち2号」による南米チリ南部のカルブコ火山噴火の観測
概要
南米チリ南部のカルブコ火山が、現地時刻の2015年4月22日から23日にかけて噴火しました。宇宙航空研究開発機構 (以下、JAXA) では、陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2) 搭載のLバンド合成開口レーダ (PALSAR-2;パルサー2) による当地域の観測を、現地時刻2015年4月25日1時48分頃(GMT-4)に実施しました。
チリ南部カルブコ山周辺地域を、PALSAR-2の高分解能モード(3m分解能、2偏波)で観測して得られた画像を図2に示します。PALSAR-2は地表面の散乱強度を計測して画像にしますが、赤にHH偏波、緑にHV偏波、青にHH偏波/HV偏波を割り当ててカラー表示しています。主に、青く暗い色の領域が水や裸地、緑色の領域が植生等を表します。カルブコ山は、画像下方の赤枠で囲んだ領域に位置します。
図2の赤枠の領域を拡大した画像を、図3に示します。比較のために、2015年3月4日の10m分解能で観測された画像を並べて示します(注:ビームの入射角が異なるため、山の倒れこみ量が異なっています)。山頂から北東側の斜面(赤丸で囲んだ領域)において、暗く写る領域が噴火後に拡大しています。これは、噴火に伴う火山泥流等により、表面の状態が変化し、マイクロ波の散乱強度が変化したためと推察されます。
図3: カルブコ山周辺のPALSAR-2観測画像(図2赤枠内の拡大図)
山頂付近の拡大図を図4に示します。他の写真等の情報によれば、噴煙は中央の丸い形をしたクレーターおよびその南側に接する窪みのあたりから噴出しています。また、その西側の薄い黄緑の領域には、複数の小さな噴出孔が確認できます。今回は、過去に高分解能の画像が無いため、噴火口付近の詳細な変化の抽出が困難ですが、このようにPALSAR-2は噴煙の下のクレーターの状態を見ることができ、今後の監視に利用できます。