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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるムラピ山噴火の緊急観測結果
インドネシア共和国ジャワ島のムラピ山が10月26日に噴火しました。これにより、数十人が死傷し、山麓の住人ら数千人が避難しています。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では10月29日午前11時49分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は2010年10月29日に取得されたアブニール・ツー画像の範囲を示したもので、黄枠は図2のムラピ山付近の位置を示したものです。
図2はムラピ山を拡大したもので、左図は噴火後の2010年10月29日、右図は噴火前の2008年6月17日に観測された画像です。噴火前後の画像を比較すると、図2の黄枠において噴火後の画像では山の南東斜面に新たな火砕流跡を確認することができました。
図2: ムラピ山の様子(それぞれ約20kmX20kmのエリア、黄枠: 図3の範囲)
左:噴火後(2010年10月29日)、右:噴火前(2008年6月17日)
(クリックで拡大画像へ)
図3は、図2の黄枠部分の拡大画像です。図3の噴火前の画像では道路とそれに沿って開発された区域が確認できますが、噴火後の画像では同じ場所が火砕流の影響を受けて焼失した様子がわかります。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
取得された画像は、センチネルアジアを通じてインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)へ提供しました。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2010年10月29日に観測した画像は東側から26度、2008年6月17日に観測した画像は0度で取得しました。
JAXA EORC