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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるマヨン山火山活動に対する緊急観測結果

フィリピン・ルソン島アルバイ州のマヨン山において、12月14日から火山活動が活発になり、20日には火口より流れ出た溶岩が確認されました。数日以内に大規模噴火が起こる可能性があるとのこと、州政府より出された勧告により、マヨン山の周囲約8km圏内に住む4万7000人あまりが避難しています。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では12月25日午前11時25分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)、パンクロマチック立体視センサ(プリズム)により現地の緊急観測を実施しました。

図1は2009年12月25日に取得されたアブニール・ツー画像で、黄色四角は図2のマヨン山付近の位置を示したものです。
図1: 2009年12月25日に観測したアブニール・ツー画像
図1: 2009年12月25日に観測したアブニール・ツー画像
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取得日時: 2009年12月25日 午前11時25分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 0° 黄枠:図2の範囲

図2はプリズムとアブニール・ツー画像から作成されたパンシャープン画像*によるマヨン山山頂付近を拡大したもので、左は2009年12月25日、右は溶岩流出前の2009年11月9日に観測された画像です。両画像を比較したところ、左の画像では南東側斜面に溶岩の流れ出た様子を確認することができ、更に、山頂から噴煙が上がっている様子も見ることができます。
図2: マヨン山山頂付近の拡大(パンシャープン画像*、それぞれ約14km×17km)
図2: マヨン山山頂付近の拡大(パンシャープン画像*、それぞれ約14km×17km) 左: 溶岩流出後(2009年12月25日観測)、右: 溶岩流出前(2009年11月9日観測)
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図3はマヨン山の南東側斜面を拡大したパンシャープン画像*です。46日前に取得された右の画像と比較して、2009年12月25日に取得された左の画像では溶岩が流出した様子を見ることができます。流れ出た先端からは煙が上がっている様子も見えます。
図3: マヨン山の南東側斜面の拡大(パンシャープン画像*、それぞれ約3km×3km)
図3: マヨン山の南東側斜面の拡大(パンシャープン画像*、それぞれ約3km×3km) 左:溶岩流出後(2009年12月25日観測)、右:溶岩流出前(2009年11月9日観測)
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図4は図3の二つの画像を重ねてアニメーション表示した画像で、2009年11月9日と12月25日の画像が約1秒間隔で表示されます。
図4:マヨン山の南東側斜面の拡大画像のアニメーション
図4:マヨン山の南東側斜面の拡大画像のアニメーション (約1秒間隔で2009年11月9日と12月25日の画像が切り替わります)

取得された画像は、センチネルアジアを通じてフィリピン地震火山研究所(PHIVOLCS)へ提供されました。また、画像の伝送には超高速インターネット衛星「きずな」を利用し、迅速にデータを届けることができました。

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

* プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

JAXA EORC