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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるカンボジア集中豪雨被害の緊急観測結果

カンボジアにおいて、2010年10月11日より降り続いた豪雨により洪水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年10月19日13時9分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雲ですが、雲の隙間から河川の増水や農耕地が冠水している様子を確認することができました。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体
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観測日時: 2010年10月19日13時9分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角: 44° 黄色枠: 図2、3の範囲

図2、図3は災害後の2010年10月19日および災害前の2008年7月22日、2010年8月26日に観測された画像から、Svay Don Kev(Phnom Penhから北西約180km)付近とPursat(Phnom Penhから北西約160km)付近を拡大したものです。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(水色)が明瞭に区別できるため、冠水域を明確にとらえることができます。災害前後の画像を比較すると、災害後の画像では農耕地が非常に広範囲に冠水しているように見えます。
図2: Svay Don Kev付近の様子(約10km×10kmのエリア)
図2: Svay Don Kev付近の様子(約10km×10kmのエリア) 左:災害後(2010年10月19日)、右:災害前(2008年7月22日)
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図3: Hin Son 付近の河川増水の様子(それぞれ約12km×12kmのエリア)
図3: Hin Son 付近の河川増水の様子(それぞれ約12km×12kmのエリア) 左:災害後(2010年10月21日)、右:災害前(2010年7月21日)
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取得された画像はセンチネルアジアを通じて、カンボジア土地管理都市開発建設省へ提供しました。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2010年10月19日観測の画像は西側から44度、2010年8月26日、2008年7月22日の画像は0度で取得しました。

JAXA EORC