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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるインドネシア津波の緊急観測結果

2010年10月25日(月)23時42分頃(日本時間,以下同じ)にインドネシア西スマトラ州のムンタワイ諸島沖で発生したマグニチュード(M)7.7の大地震により津波が発生し、同諸島に大きな被害が出ました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2010年10月28日(木)12時45分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のパンクロマチック立体視センサ(プリズム)と高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)による観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。
図1: 2010年10月28日に観測したアブニール・ツー画像
図1: 2010年10月28日に観測したアブニール・ツー画像
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観測日時: 2010年10月28日 12時45分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角: 0.0° 紫色枠: 図2~6の拡大画像の範囲

図2から図6は、災害後の2010年10月28日に観測されたプリズムとアブニール・ツーにより作成されたパンシャープン画像*から、パガイ島付近を拡大したものです。パダン(西スマトラ州の州都)から南南西に約220km付近です。図は植生域が明るい赤色となるように作成しており、災害前の画像と比べると、震源地に近い島の西沿岸部(特に黄枠の部分)で植生域(赤色)が減少していることから、津波によって押し流されたと考えられます。
図2: 南パガイ島沿岸部の様子1 (それぞれ約3km×3kmのエリア)
図2: 南パガイ島沿岸部の様子1 (それぞれ約3km×3kmのエリア) 左:災害後(2010年10月28日)、右:災害前(2010年6月12日)
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図3: 南パガイ島沿岸部の様子2 (それぞれ約4km×4kmのエリア)
図3: 南パガイ島沿岸部の様子2 (それぞれ約4km×4kmのエリア) 左:災害後(2010年10月28日)、右:災害前(2010年6月12日)
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図4:南パガイ島沿岸部の様子3 (それぞれ約2km×2kmのエリア)
図4:南パガイ島沿岸部の様子3 (それぞれ約2km×2kmのエリア) 左:災害後(2010年10月28日)、右:災害前(2010年6月12日)
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図5: 北パガイ島沿岸部の様子1 (それぞれ約2km×2kmのエリア)
図5: 北パガイ島沿岸部の様子1 (それぞれ約2km×2kmのエリア) 左:災害後(2010年10月28日)、右:災害前(2010年6月12日)
図6: 南パガイ島沖の島の様子(それぞれ約4km×4kmのエリア)
図6: 南パガイ島沖の島の様子(それぞれ約4km×4kmのエリア) 左:災害後(2010年10月28日)、右:災害前(2010年6月12日)

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

取得された画像は、センチネルアジアを通じてインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)へ提供しました。

*プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像:

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

JAXA EORC