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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による広島県豪雨の緊急観測
2010年7月16日、広島県庄原市で1時間に72mmの記録的な集中豪雨があり、河川の氾濫や土石流が発生し甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年7月19日11時25分頃(日本時間)および7月20日10時28分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲ですが、雲の隙間から土砂災害のあった箇所を確認することができました。
図2は土石流の発生した庄原市西城町付近を拡大したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土砂崩れなどにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。
図3は、図2の庄原市西城町付近において被害の大きかった大戸地区をさらに拡大した画像です。災害前後の画像を比較すると、災害後(7月19日および7月20日)の画像では赤色の植生域が減少していることがわかります。これは、土砂崩れもしくは土石流により植生が失われたことが原因と考えられます。
取得された画像は内閣府、国土交通省国土技術政策総合研究所へ提供しました。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2010年7月19日の画像は西側から38度、7月20日の画像は東側から44度で取得しました。
JAXA EORC