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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載光学センサによるチリの大地震にともなう緊急観測(2)

2010年2月27日15時34分(日本時間、以下同じ)頃、チリ中部の沿岸(チリの首都サンチアゴの南西325km)を震源とするマグニチュード8.8(暫定)の地震が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年3月1日に続き、3月4日(木)23時58分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載光学センサ、高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)とパンクロマチック立体視センサ(プリズム)による緊急観測を実施しました。

図1は3月4日に観測したアブニール・ツーの全体画像です。白く見えるのは雲です。地震の被害が大きいといわれるコンセプシオンの様子は残念ながら雲のため確認することはできませんが、津波による被災が大きいと考えられるチリ沿岸部を含む画像を取得することができました。アブニール・ツーと同時に、プリズムでは衛星直下を撮影する直下視と、斜め後ろを撮影する後方視の二方向視同時観測モード(OB2)で観測しました。アブニール・ツーとプリズム直下視の観測データからパンシャープン画像*を作成しました。黄色枠は拡大画像の場所を示します。
図1: 2010年3月4日に観測したアブニール・ツー画像
図1: 2010年3月4日に観測したアブニール・ツー画像
(クリックで拡大画像へ)

観測日時: 2010年3月4日 23時58分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 0.0° 黄枠: 図2~5の拡大画像の範囲

図2はコンスティトゥシオン市の海岸部約4.2km四方を拡大した画像で、左は2010年3月4日、右は地震前の2009年12月2日にアブニール・ツーで観測されたものです。黄色丸で囲んだ海岸線や付近の建造物などが被災前と後で様子が大きく異なっていることから、津波による被害が発生していると考えられます。

図3は図2の地震前後の画像をアニメーション表示したもので、約1秒間隔で地震前と地震後の画像が切り替わります。被害が発生していると考えられる箇所をより明確に判別することができます。
図2: コンスティトゥシオン市海岸部の拡大
図2: コンスティトゥシオン市海岸部の拡大

(それぞれ約4.2km×4.2km)

左:地震後観測(2010年3月4日)、右:地震前観測(2009年12月2日:アブニール・ツー)

(クリックすると高解像度画像が見られます)
図3: コンスティトゥシオン市海岸部の拡大画像のアニメーション
図3: コンスティトゥシオン市海岸部の拡大画像のアニメーション

(約1秒間隔で地震前と地震後の画像が切り替わります)

図4はペリュウエ付近の海岸約1.5km四方を拡大した画像です。黄色丸で示した付近は、地震前後の画像を比較すると、地震後に道路や建物が損失していることが確認できることから津波による大きな被害が発生していると考えられます。
図4: ペリュウエ付近の拡大
図4: ペリュウエ付近の拡大

左: 地震後観測、右: 地震前観測

(それぞれ約1.5km×1.5km、黄色丸は海岸線、道路などに特に大きな変化が見られる箇所)

(クリックすると高解像度画像が見られます)
図5はペリュウエから南西に約6kmの海岸付近約1.5km四方を拡大した画像です。黄色丸で示した付近は、地震前後の画像を比較すると海岸線の形状や沿岸部の道路などに大きな変化が見られるため、地震もしくは津波による影響がうかがえます。
図5: ペリュウエから南西約6km付近の拡大
図5: ペリュウエから南西約6km付近の拡大

左: 地震後観測、右: 地震前観測

(それぞれ約1.5km×1.5km、黄色丸は海岸線、道路などに特に大きな変化が見られる箇所)

(クリックすると高解像度画像が見られます)

取得された画像は、国際災害チャータを通じて関係機関へ提供されました。

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

JAXA EORC