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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるブラジルの洪水・土砂災害による緊急観測結果
ブラジルの南東部リオデジャネイロ郊外において、2011年1月11日から起きた集中豪雨により洪水・土砂災害などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2011年1月18日22時28分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雲ですが、雲の隙間から土砂災害や市街地が冠水している様子を確認することができました。
図2、図3は災害後の2011年1月18日および災害前の2010年8月13日に観測された画像から、土砂災害の被害箇所を拡大したもので、Nova Friburgo北西部付近です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と土砂(明るい灰色)が明瞭に区別できるため、土砂災害域を明確にとらえることができます。黄枠は、特に大きな土砂災害が起きたと考えられるエリアです。
図4は災害後の2011年1月18日および災害前の2010年8月13日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したもので、Nova Friburgo市街地付近です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(明るい灰色)が明瞭に区別できるため、冠水域を明確にとらえることができます。黄枠を見ると、災害前の画像では植生であったところが災害後の画像では失われていることから、増水や冠水していると考えられるエリアです。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
取得された画像は国土交通省国土技術政策総合研究所と、国際災害チャータを通じてブラジル宇宙研究所(INPE)へ提供されました。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は40度で取得しました。
JAXA EORC