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「だいち」がとらえたソロモン地震によるニュージョージア島の隆起

平成19年3月25日午前9時42分頃、能登半島沖(輪島の西南西約40km)を震源とする「平成19年(2007年)能登半島地震」が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、4月10日に行なった陸域観測技術衛星「だいち」による緊急観測での観測画像を解析した結果、被災地の地盤隆起の様子を確認することができました。

図1は、平成19年4月10日22時27分頃(日本時間、以下同じ)に取得した「だいち」搭載のパルサー(PALSAR)*1の画像データ(図2)と、平成19年2月23日にPALSARで取得した画像を差分干渉処理*2させて得た地殻変動図です。2月23日~4月10日の46日間に、衛星と地面の距離の伸び縮み具合を面的に色で表したもので、輪島市門前町を中心に西の方向に最大約45cmのずれ(隆起)、門前町を含む約40km四方に集中した地盤隆起の様子が確認できます。国土地理院によって、GPS観測等から断層面のずれによる地殻変動が検出されておりますが、今回の「だいち」の観測では、この地殻変動を裏付ける観測結果が得られました。
図1: 能登半島周辺の地殻変動図
図1: 能登半島周辺の地殻変動図
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図2: 平成19年4月10日に観測したPALSARによる能登半島画像
図2: 平成19年4月10日に観測したPALSARによる能登半島画像
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震源地周辺において色の変化が激しく、最大45cmの隆起が見られます。色の一周期は11.8cmの変動を表し、赤色が隆起、青色が沈降、緑色が変化がないことを示しています。なお、富山平野において青色が確認できますが、これは地面が沈降したものではなく、2月23日~4月10日の期間中の気象条件の差によって表れたものです。

*1 パルサー(PALSAR):

衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波センサー(映像レーダー)で、夜や曇天時も撮影が可能です。

*2 差分干渉処理:

レーダーは地面との距離を測ります。2回の観測の差が距離の差になりますので、地震や地盤沈下等によって発生した地面の陥没や隆起を知ることができます。干渉とは、地面からの反射の信号が2回の観測で類似であること、また差分とは、距離の差に含まれる高さの成分を標高データで補正することをいいます。

JAXA EORC