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PALSARによる中国四川省で発生した地震に関する観測結果(2)
平成20年5月12日に中国四川省で発生したM7.9の大地震で、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では、5月13日に引き続き5月15日にも陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)*1による現地の緊急観測を実施しました。
図1は、地震前の平成20年2月5日および3月5日に、PALSAR(パルサー)の高分解能モードによって取得されていた現地の画像データです。図2は、平成20年5月15日午前0時33分頃(以下、日本時間)に同じくPALSAR(パルサー)の高分解能モード(10mの分解能を有する)によって緊急観測した同じ地域の画像データです。図3、4は、それぞれ図1、図2の赤枠で示した領域の拡大画像(約10km四方)です。図4(地震後)の赤枠で示した領域では、山が西側に崩れ落ち、地形が変化した様子が分かります。なお、水色で示した暗い領域は、山体崩壊によって川が堰き止められてできた湖(堰止湖)か、山体崩壊により生じた影(電波が山にさえぎられ見えなくなった部分)である可能性があり、今後詳細に解析する予定です。
このように地震前後のほぼ同じ分解能のデータが得られたため、地震前後の画像データの比較が可能になりました。JAXAでは今後も当該地域を継続して観測し、今回レーダの入射角度が異なっているため実施できなかった差分干渉処理*2による地殻変動解析についても結果が得られ次第、発表する予定です。
JAXAでは国際災害チャータの要請に基づき、このデータを国際災害チャータへ提供しました。*1 パルサー(PALSAR) :
フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮影が可能です。
*2 差分干渉処理 :
レーダは地面との距離を測ります。2回の観測の差が距離の差になりますので、地震や地盤沈下等によって発生した地面の陥没や隆起を知ることができます。
JAXA EORC