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カナダ北西部の海氷災害に関する「だいち」の緊急観測の結果について
日本時間4月19日、カナダ北西部のニューファンドランド島沖のラブラドル海で、海氷の到来にともなって約100隻の漁船が座礁し、400-500名(推定)の漁師が逃げ出せなくなりました。現地は濃い霧とあられなど悪天候のために救援の飛行機を出すことが難しく、国際災害チャーターが発動されました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月22日、陸域観測技術衛星「だいち」搭載の合成開口レーダ、パルサー(PALSAR) *1による緊急観測を実施し、現地の様子を捉えることができました。
*1 パルサー(PALSAR):
衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波センサー(映像レーダー)で、夜や曇天時も撮影が可能です。
図1はパルサーで4月22日10時55分頃、昇交軌道(現地時間では夜間)から36.9度で被災地域を観測したものです。観測されたままの画像では陸地と海上の判別が難しいため、正射投影(オルソ補正)画像を作成し、海岸線データと重ね合わせて、陸域はマスク処理しました(図1中、黄緑色)。パルサーの画像では、通常の海は暗く見えますが、海氷や波立った海は明るく見えます。図1の画像を見ると、海上で明るく見える部分は海氷が押し寄せている場所を示しています。さらに詳細に見ると、海上でより明るい点が見えることが分かります。これが船と考えられます。そこで、画像の明るさを基準に明るい点を自動的に抽出し、図1に赤丸で示しました。このパルサーの観測領域の中では、海氷域に約20点の明るい点があることが分かりました。図2は海氷域の明るい点、すなわち海氷のために座礁した船舶と考えられる場所の拡大図です。
なお、パルサーの画像は4月22日に国際災害チャーターへ提供しました。
JAXA EORC