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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるフィリピンの台風被害にともなう緊急観測結果
2009年9月26日にフィリピンのマニラ北部を台風16号「ケッツァーナ」が通過し、首都圏を中心に記録的な大雨をもたらしました。この影響により、各地で洪水や浸水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では9月29日午前11時31分(日本時間,以下同じ)頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1による緊急観測を実施しました。
図1は9月29日にフィリピンのマニラ近郊を観測したアブニール・ツーの全体画像です。白く見えるのは雲ですが、マニラ市街地の北西と南の付近は雲の間から地表の様子を確認することができました。
図2は災害後の9月29日、および災害前の今年9月17日(12日前)に観測された画像から、マニラの北西約20kmにあるBulakanという町付近を拡大したものです。いずれの画像もバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。災害前の画像はわずか12日前の9月17日に観測されたものなので、今日の画像と比較することで台風による影響を判読することができます。図2では、12日前には緑の畑地が広がっていますが、台風通過後の同じ場所は茶色く濁った水が覆っていることが分かります。
図3は図2と同様の観測画像から、マニラの南東約30kmにあるCanioganという町付近を拡大したものです。台風にともなう浸水域が住宅街や道路にも迫っている様子が分かります。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西向きに10.5度で取得しました。
JAXA EORC