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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるマディラ島の豪雨被害にともなう緊急観測
2010年2月20日から21日にかけて大西洋のポルトガル領マディラ島において記録的な豪雨が発生し、大規模な土砂崩れや洪水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では2月23日午後9時06分(日本時間,以下同じ)頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)による緊急観測を実施しました。
図1は2月23日にマディラ島を観測したアブニール・ツーの全体画像です。島の西側に白く見えるのは雲ですが、マディラ島の東側は晴れており地上の様子を確認することができました。図2はSao Jorge付近を拡大したもので、左が災害後の2010年2月23日に観測したアブニール・ツー画像、右が災害前の2009年9月14日に「だいち」搭載のパンクロマチック立体視センサ(プリズム)で観測した画像です。アブニール・ツー画像はバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。
図2左の黄色の丸枠で囲んだところにはつづら折の山道が見えますが、その山道を土砂が覆って谷に向かって崩れている様子が見えることから土砂崩れが発生していると考えられます。災害前のプリズム画像のほうは山道が黒く映っていますが、周辺は植生に覆われており、土が露出しているようには見えません。
また図3はCamachaという町の北西約3km付近を拡大したものですが、図2と同様に左のアブニール・ツー画像中黄色の丸枠で囲んだところでは茶色の筋がいくつか見えることから土砂崩れが発生していることが推察されます。
図4はFaialという町の付近を拡大したものです。災害前後の画像を比較すると、河川の川幅が広がっている様子を見ることができます。また、黄色丸で示した橋の付近では土砂が溜まっているように見えます。
図5は災害後の2月23日に観測された画像から島の南側に位置するFunchalからRibeira Bravaという町までを拡大したものです。河川から茶色に濁った水が海へ流れ込んでいることが分かります。
図6はRibeira Bravaの北側にあるSerra de Aguaという町の付近を拡大したものです。川幅が広くなり、民家近くまで水が迫っている様子が分かります。
なお、取得された画像はALOS欧州データノード(ADEN)へ提供されました。
JAXA EORC