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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるヨーロッパ中部洪水被害の緊急観測結果
ヨーロッパ中部において、2010年8月上旬の集中豪雨により洪水が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年8月10日19時43分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雲ですが、雲の隙間から河川の増水や市街地、および農耕地が冠水している様子を確認することができました。
図2、図3は災害後の2010年8月10日および災害前の2010年7月16日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したもので、それぞれZgorzelec(ドイツとポーランドの国境沿い、ベルリンから南東約190km)とPoustka(チェコ首都プラハから北北東約105km)付近です。図2および図3の災害前後画像から、農耕地が非常に広範囲に渡り冠水していることがわかります。また、市街地で冠水していると考えられる箇所を黄枠で示しました。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
なお、取得された画像は国際災害チャーターを通じて、チェコ共和国内務省へ提供しました。
* 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東へ37度で取得しました。また、災害前の2010年7月16日の画像は、0.0度で取得しました。
JAXA EORC