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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるブータンにおける土砂災害の緊急観測

2010年7月22日、ブータンでモンスーンによる洪水および地滑りが発生し甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年7月25日13時54分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲ですが、雲の隙間から土砂災害のあった箇所を確認することができました。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体 観測日時: 2010年7月25日13時54分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 11° ピンク枠: 図2、3の範囲
図2~3は、2010年7月25日観測の画像と災害発生前の画像を比較したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土砂崩れなどにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。黄色丸で囲ったところは、土砂崩れおよび土石流跡のように見えます。
図2: 土石流の発生したブータンTsirang県南西部付近の拡大(それぞれ3km四方)
図2: 土石流の発生したブータンTsirang県南西部付近の拡大(それぞれ3km四方) 左:2010年7月25日 (災害発生後)、中央:2007年1月9日(災害発生前)、右: 2006年8月9日(災害発生前)
図3: 土石流の発生したブータンWangdue Phodrang県南西部付近の拡大(それぞれ3km四方)
図3: 土石流の発生したブータンWangdue Phodrang県南西部付近の拡大(それぞれ3km四方) 左:2010年7月25日 (災害発生後)、中央:2007年1月9日(災害発生前)、右: 2006年8月9日(災害発生前)

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

なお、取得された画像はセンチネルアジアを通じて国際総合山岳開発センターへ提供しました。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側から11度で取得しました。

JAXA EORC