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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるオーストラリア山火事の緊急観測結果
2009年1月末にオーストラリアビクトリア州で山火事が発生し、現在も延焼中です。宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では2月10日午前9時24分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は本日取得した画像の位置を示したものです。北側と南側の1シーンずつを用いて解析に使用しました。この二つの画像の間は雲のため地表面の確認が困難でした。図2、3は火災による影響が確認できた箇所の拡大画像で、それぞれの位置を図1に黄枠で示しています。図2左は2月10日の観測画像、右は火災前の2006年9月15日に観測された画像です。左の画像では、火災によって焼失したと考えられる領域が黒く見え、この焼失面積は雲で見えない部分を除き約130平方kmと推定できました。焼失エリアの縁辺には未だ煙が上がっている様子も確認できます。 また、図3の左は2月10日の観測画像、右が火災前の2008年8月5日に観測された画像です。黄色枠で示した場所は活発な火災の炎が確認できました。雲と火災による煙の間に約2kmに渡り細い帯状の赤い炎が見えます。
この画像はセンチネルアジアを通じてオーストラリア政府機関へ提供しました。*1: 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2009年2月10日の画像は東向き10度で取得しました。
*2: フォールスカラー画像:
AVNIR-2のバンド4, 3, 2を用い、植生を赤く強調しているため火災による焼失など地表面の変化が見やすくなります。
JAXA EORC