ALOS-3
観測センサ
広域・高分解能センサの概要と主要諸元
ALOSからの主な改良点
- ①光学系の大型化
- ②検出器の高性能化
- ③バンド数の追加(4バンド→6バンド)
軸外し4枚鏡光学系
ALOSで確立した軸外し3枚鏡光学系技術をベースに、「軸外し4枚鏡光学系」を採用し、高分解能と広視野の両立を実現しました。衛星直下の地上分解能0.8mと観測幅70kmの両立は、ALOS-3の大きな特徴の1つとなっています。

ミラーの軽量化と研磨
衛星の重量が重いほど打ち上げ時に大量の燃料が必要となり打ち上げ費用がかかるため、衛星の軽量化は非常に重要です。特に光学センサの中で最も重いのがミラー(鏡)部分です。そのため強度は保ったまま大幅な軽量化を実現するために、ミラーをハニカム構造(はちの巣構造)に加工します。軽量化加工の後、ミラーの表面を滑らかにするために研磨を行います。最終的には面精度誤差が0.010µm*レベルになるまで研磨を行います。※1µm=100万分の1m

バンド数の追加
ALOS-3では、光学センサの観測波長帯をALOSの4つの波長帯から6つの波長帯に広げ、より多くの波長帯(色)を見ることができるようになりました。追加となった2つの波長帯については、Coastalバンドは水中や沿岸環境の観測に、RedEdgeバンドは植生の活性度の把握にそれぞれ役立つと期待されています。
だいち3号 (ALOS-3) | だいち (ALOS) |
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パンクロ520-760nm
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パンクロ (PRISM)520-770nm
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マルチ 6バンドBand 1: 400-450nm (Coastal)
Band 2: 450-500nm (Blue)
Band 3: 520-600nm (Green)
Band 4: 610-690nm (Red)
Band 5: 690-740nm (Red Edge)
Band 6: 760-890nm (NIR)
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マルチ (AVINIR-2) 4バンド
Band 1: 420-500nm (Blue)
Band 2: 520-600nm (Green)
Band 3: 610-690nm (Red)
Band 4: 760-890nm (NIR)
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ALOS-3の観測モード
多様な観測モード
- ストリップマップ観測
衛星直下の地表面を連続的に観測(1周回当たり連続最大10分間(約4000km))
- 立体視観測(1パス)
1度のパスで2つの異なる観測方向から、1シーン以上の同一地点のステレオペア画像の取得
- 立体視観測(2パス)
異なる2つのパスを利用して、B/H=0.5程度で同一地点のステレオペア画像の広域取得
- 地点観測
指定地点が観測中心となるよう全方角60°の範囲で衛星をポインティングし、直下以外の離れた地点を観測
- 方向変更観測
衛星直下軌跡と異なる方向への連続的な観測。この時、観測姿勢は連続的に変化し、それに応じて分解能も変化する
- 広域観測
1度の衛星通過中に同一エリアを複数回走査することで、1度に200km(衛星進行方向)×100km(直行方向)以上の地表面の観測を行う。分解能は走査毎に異なる