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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による2010年チリ地震にともなう緊急観測 (1)

2010年2月27日15時34分頃(日本時間、以下同じ)、チリ中部の沿岸(チリの首都サンティアゴの南西325km、深さ35km)を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生しました(地震の規模及び位置については米国地質調査所(USGS)による発表を参照)。宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は地震による被害状況を把握するため、3月2日13時13分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による緊急観測を実施しました。本観測では2010年1月15日に取得した同じ軌道からの画像と比較し、地殻変動検出を実施しました。「だいち」は当該地域を夜間に南から北へ飛行しながら、震央の南、大きな被害が報告されている都市・コンセプシオン南西の領域を観測しました。

図1:2010年3月2日13時13分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により観測された範囲(赤枠)と青枠は図2で示すPALSAR観測領域。赤い星印は本地震の震央位置。数値標高データはSRTM3を使用

図1: 全体図(数値標高データはSRTM3を使用)
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青枠は図2で示すPALSAR観測領域を示します。赤い星印は本地震の震央位置を示しています。

図2左:2010年2月27日15時34分頃(日本時間)に発生したチリ中部の沿岸地震震央付近の領域を陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により地震後の観測画像(2010年3月2日)と地震前(2010年1月15日)に取得した同じ軌道からの画像を使用して作成した差分干渉処理画像
図2右:陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により地震後(2010年3月2日)に観測されたチリ中部の沿岸地震(2010年2月27日発生)震央付近の領域

図2: (左)PALSAR差分干渉画像(地殻変動図)。(右)地震後のPALSAR強度画像。
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地震に伴う地殻変動を検出するため、地震前後に取得したPALSARデータの差分干渉解析を行いました。図2左は地震前(2010年1月15日)と地震後(2010年3月2日)のPALSARデータから得られた差分干渉画像(地殻変動図)、図2右は地震後の強度画像を示したものです。図2左から干渉画像全体に非常に多くの明瞭な干渉縞が確認でき、画像内で28周期程度(およそ3m)の衛星に近づく向きの地殻変動(隆起を含む変動)があったことが分かります。今回「だいち」による観測から、震央から約100km離れた地点で3m程度の地殻変動が生じた事が明らかになりました。

JAXAでは今後も「だいち」によるチリ地震に関する観測を継続していく予定です。

(注1) ただし本結果は即時軌道情報を使っており、軌道誤差による縞を含んでいる可能性があります。今後高精度軌道情報を入手し次第再解析を行います。

(注2) パルサー(PALSAR): フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮影が可能です。

(注3) 差分干渉処理: レーダは衛星と地面との距離を測ります。地震前後のデータを比較すると、地震によって発生した地面の隆起や沈降などの地殻変動は、距離の差となり、画像では干渉縞として表わされます。今回の画像にあるように、内陸から沿岸部に向かって、青→緑→黄→赤→青の変化は地面が衛星に近づくことを表わします。なお、色の一周期は11.8cm分の変動を示すものです。

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