陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)初期機能確認期間中の観測画像について
(その1・東京編)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、現在、2014年5月24日に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の初期機能確認試験・各センサの校正・検証作業を実施中です。同衛星の観測データは、災害発生時の状況把握や森林伐採の監視、オホーツクや極域の海氷観測などに貢献することが期待されています。

今後は随時、「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ (PALSAR-2)により、初期機能確認期間中に取得された画像の一部を紹介します。今回は、2014年6月22日に高分解能[3m]の単偏波モード、オフナディア角35.4度で東京を観測したデータと2014年6月20日と7月4日に、高分解能[3m]の単偏波モード、オフナディア角42.7度で西之島を観測したデータの紹介です。

「だいち2号」観測データの品質を向上させるため、今後も引き続き校正・検証を行っていきます。観測データの一般利用者への提供は11月下旬を予定しています。

※PALSAR-2は、地殻変動や地球環境の監視に適したLバンドの周波数を用いた衛星搭載の合成開口レーダとしては世界唯一のもので、昼夜や天候によらず地表の画像を取得することができます。


以下の各図は、「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)の試験電波発射により取得された観測画像です。

2014年6月22日のPALSAR-2観測範囲の地図。赤枠が2014年6月22日東京の観測範囲。青枠が2014年6月20日の西ノ島の観測範囲。緑枠が2014年7月4日の西ノ島の観測範囲
2014年6月22日のPALSAR-2観測画像(高分解能[3m]単偏波モード、オフナディア角35.4度)
図1: 観測範囲図

図1左は、今回取り上げた観測データの観測範囲です。それぞれ、赤枠が2014年6月22日東京の観測範囲。青枠が2014年6月20日の西ノ島の観測範囲。緑枠が2014年7月4日の西ノ島の観測範囲です。
図1右は2014年6月22日(日本時間、以下同じ)に観測された東京付近の画像です。画像内の枠線の範囲を拡大したものを、図2~4に示します。

 
図2: 2014年6月22日のPALSAR-2観測画像による葛西臨海公園、ディズニーリゾート付近
図2: 葛西臨海公園、ディズニーリゾート付近
(クリックで拡大画像へ)
 

図2は、葛西臨海公園と、ディズニーリゾート付近の拡大図です。葛西臨海公園内の人工干潟である東なぎさ、西なぎさと、西なぎさをつなぐ葛西渚橋がよくわかります。また、ディズニーリゾートでは、駐車場内にある照明用の柱が1本1本分離して見えています。

 
図3: 2014年6月22日のPALSAR-2観測画像による東京湾袖ヶ浦付近
図3: 袖ヶ浦付近
(クリックで拡大画像へ)
 

図3は、東京湾対岸の袖ヶ浦付近の拡大図です。東京湾沿岸の京葉化学コンビナートがつらなり、整然とならぶ貯蔵タンクや火力発電所の煙突が見られます。

図4: 木更津金田IC付近  

図4は、アクアラインの木更津口付近の桟橋の拡大図です。右は丸く囲った部分をさらに2倍に拡大したものですが、桟橋に小さな船が係留されている様子が見られます。

図5: 小笠原西之島 左:2014年6月20日観測 右:2014年7月4日観測
(クリックで拡大画像へ)

図5は、東京都小笠原村に属する小笠原西之島の画像です。同島付近では2013年11月から始まった火山の噴火活動により島域の拡大が継続しています。6月20日から7月4日の14日間にも、島がひと回り大きくなっていることが本画像から確認できます。

図6: 6月20日と7月4日観測画像比較による西之島の変化の様子  

図6は図5の2枚の画像を交互に重ね合わせ、アニメーションで島の変化を表現したものです。

© JAXA EORC