「だいち2号」によるグアテマラ・フエゴ山噴火の観測結果について

Posted: Jun. 8, 2018, 9:00 (UTC)

概要

  • グアテマラ・フエゴ山において、2018年6月3日より噴火活動が開始した。
  • JAXAは6月7日に「だいち2号」による観測を行い、フエゴ山周辺の火砕流の様子を捉えた。
  • データは現地関係機関へ提供しており、夜間あるいは雲や噴煙の下でも地表を観測可能な「だいち2号」の特性を活かし、火山活動の監視に貢献している。

 グアテマラ・フエゴ山において2018年6月3日より継続している噴火活動について、JAXAは国際災害チャーターからの要請に基づき、「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」により観測を行いました。表1に観測の概要を、図1に観測範囲を示します。

表1:「だいち2号」による緊急観測の概要
観測日(UTC)軌道番号軌道方向観測モード偏波観測方向ビーム番号
2018年6月7日53北行軌道Stripmap 10mHH+HVF2-6
図1: フエゴ山周辺の地形図。

図2: 2018年6月7日と2018年5月24日の観測データを用いた差分干渉画像。(クリックで拡大画像へ)

 図2は2018年6月7日の観測データと2018年5月24日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。この画像は衛星視線方向(Beam)の地表面の変位量を色で表し、この14日間で地表が衛星に近づく方向に動いた場合には青色(寒色系)、衛星から遠ざかる方向に動いた場合は赤色(暖色系)に変化することを意味しています。この解析結果では、フエゴ山の山頂周辺ではノイズレベルを超える変動らしきシグナルは見えませんでした。また、フエゴ山の南側に8 cm程度の衛星に近づくシグナルが見えていますが、これは2時期の観測時の気象条件の違いによる疑似的な変動で、今回の火山活動による変動ではないと考えられます。

図3: 2018年6月7日と2018年5月24日の観測データを用いたフエゴ山周辺の強度画像のカラー合成。
(クリックで拡大画像へ)

 図3は、赤色に6月7日のHV偏波、緑色に5月24日のHV偏波、青色に5月24日のHH偏波の強度画像を割りあてたカラー画像で、火砕流が赤色に見える着色になっています。この図から、山頂から特に西側と南東に向かって火砕流があったことがわかります。また、山頂付近では火山灰の降灰によるものと考えられる変化が見えています。


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