OCTS Version 3.1 L3BM Daily SST(以下でL3BMSST)(same value with Version 4.1 SST)の精度評価をするため、Marine Environmental Data Service (MEDS)からOCTS Cal/Val用に提供されたDrifter Data(以下Buoyデータ)と比較した。Buoyの日付・緯経度と、それに対応するL3BMSSTデータの日付とグリッドが一致したデータを比較のセットにした。ただし、同じ日付・グリッド中に複数のBuoyデータが入った時はADEOSの観測時間Local Time 10:30分にもっとも近いデータを用いた。また、L3BMSSTに希に含まれるセンサー異常や処理異常、雲域除去エラーのような異常値データを除去するため、L3BMSSTとBuoyデータの差の絶対値が3度以上のデータを比較対象から外した。
- Figure 1 Scatter diagram of Drifter buoy and original L3BMSST.
(Number=7747,Bias=-0.01,RMSE=0.82)OCTSは11月1日〜12月19日、3月19日〜6月29日の期間にTilt運用をしていた。Tilt運用は、南中時に太陽天頂角が0度になる緯度帯を基準とした角度で北から60度、0度、-60度において切り替えられ、北から南へ向かうADEOSのPath中で0度(直下視)、-20度(進行方向に対して後方視)、20度(前方視)、0度(直下視)の順に行われた。このTilt運用によってSun glintを避けて海色を観測できたが、Tilt切り替えによってSSTの値にバイアスを生んでいることが気象庁全球SSTデータ(JMA GLSST)などとの比較によってわかっている(Figure 2)。Figure 2を見ると、Tilt運用していた11月1日〜12月19日、3月19日〜6月29日を含む図でTilt切り替え緯度(南中時に太陽天頂角が0度になる緯度帯)でギャップが現れている。このギャップは、全球や低緯度域の解析に大きな影響を与えると思われる。ただし、日本周辺の北緯20~40度の緯度帯ではいずれの月も大きな残差はない。 Drifter Buoyデータとの比較においても、Tilt切り替えに起因する残差を含んでいると考えられる。そこでデータの残差について、“データ地点緯度−各日のTilt切り替えの緯度”に対してプロットした(Figure 3)。明らかに北(左側)から切り替え緯度に向かって残差が正になり、切り替え(0度)によって残差が負になり、南(右)に行くに従って残差が減少する傾向がある。この原因は光学系や黒体補正などのOCTS校正システムの性質がTiltによって変化したことが予想されるが、はっきりとした原因は今のところわからない。そこでとりあえず切り替え緯度からの角度との関係を用いて補正することを試みる。処理上の連続性を保持するため、Tiltの切り替え点の60度と-60度で補正が0度となるような最小二乗直線(Figure 3中の直線)を求めた。変換式を下に示す。SSTrevised=SSToriginal-(-0.0116948*(x-60)) (60>x>0: Northern part)
SSTrevised=SSToriginal-(-0.0172867*(x+60)) (-60<x<0: Southern part)
x=-23.4*cos(2*3.14159*(cdy+6)/365) (: Tilting Latitude [degree N])
cdy: days from 1 January in each yearこれをTilt運用期間について適用すると、切り替えからの角度-残差図は、Figure 4のように改善された。変換後のBuoyとの比較結果をFigure 5に示す。
- Figure 5 Scatter diagram of Drifter buoy and revised L3BMSST.
(Number=7747, Bias=0.05, RMSE=0.74)また、Figure 2のJMASSTとの比較の図は、Figure 6のように改善された。11月〜1月のデータで北(左)端で負になっているが、これはOCTSの日照域の観測開始時におけるセンサーの不安定性などが原因であるかもしれないが、この緯度帯では現場データも少ないと考えられるため、確かなことはわからない。また、例えば、JMAのSST気候値との偏差をとってみると、Figure 7 の様になり、偏差解析にも問題ない程度まで改善できていると思われる。「まとめと考察」
OCTSのL3BM Daily SSTデータをMEDS Drifter Dataと比較評価した。その結果、Original L3BM SSTデータではbias=0.01、RMSE=0.82度で、Tilt切り替えに起因すると思われる残差を示していた。Tiltによる残差の原因ははっきりしていないが、その残差を観測地点の緯度とTilt切り替え緯度との角度を用いて経験的に補正することを試みた。その結果Drifter SSTとの比較で、bias=0.05度、RMSE=0.74度に改善した。RMSE=0.74度の精度はAVHRRの精度に比べて、同程度か若干悪いと思われる。残った残差にはOCTSのscan角度依存性などの原因が予想されている。今後更に改善を試みる必要がある。
Acknowledgement
In this report, we use MEDS Drifter Data and JMA Global SST data for the comparisons. The MEDS data were edited by Akira Mukaida in Remote Sensing Technology Center of Japan.
以下にL3BM及びILACデータのグリッド−緯度対応とCount値-物理量対応について示す。
Appendix Data projection of L3BM, ILAC (L3M) Data 1. L3BM Data size: 4096x2048, 1byte per pixel area: 90N to -90N (North -> South), -20E to -20E (West -> East) Lon E =160+360/4096*(n-2048.5), n=1....4096 Lat N =180/2048*(1024.5-m), m=1....2048 Count value (0 to 255) -> Chlorophyll-a concentration Chl [mg/m^3] =10**{0.015*Count-2 } Count value (0 to 255) -> Sea Surface Temperature SST [degree Celsius] =0.15*Count-2 2. ILAC Data The cut data and Level 3Map data is projected by Mercator projection (in default). Pixel and Line number of a location are calculated from its Latitude (Lat, degree) and Longitude (Lon, degree) : Pixel=6378136*π/180/680*(Lon-Lo0)+1 Line=6378136*( log(tan(π/4+La0*π/180/2) *((1-0.0818*sin(La0*π/180))/(1+0.0818*sin(La0*π/180)))**(0.0818/2)) -log(tan(π/4+Lat*π/180/2) *((1-0.0818*sin(Lat*π/180))/(1+0.0818*sin(Lat*π/180)))**(0.0818/2)) )/680+1 Lo0=Scene Upper Left Longitude (degree) La0=Scene Upper Left Latitude (degree) (Lo0,La0) are correspond to (pixel No. 1, line No. 1) Chlorophyll-a and SST are derived from the data value: Chla[mgm^-3]=10**((0.015*data)-2.0) SST[K] =0.15*data+271.15
************************************************************** Hiroshi Murakami (村上 浩) E-Mail : murakami@eorc.nasda.go.jp National Space Development Agency of Japan (NASDA) Earth Observation Research Center (EORC) **************************************************************
Earth Observation Research Center