オーストラリアと南米の間の熱帯太平洋域について、海面水温、赤道上の温度躍層の深さ、貿易風の偏差、対流活動と大気循環の分布を示しています。中央:通常年。南米沿岸で貿易風によって冷たい海水の湧昇が起こっているため、太平洋の東側の海面水温は西側に比べて低くなります。左:ラニーニャ年。太平洋の東側で温度躍層の深さが浅くなり、海面水温が低くなります。逆に西側で温度躍層が深くなり、海面水温の高い領域と対流の中心位置が西側にシフトします。右:エルニーニョ年。貿易風が弱まるため、南米沿岸での冷たい海水の湧昇が減少します。結果として海面水温の高い領域が赤道上に東へ拡がり、対流の中心も中部熱帯太平洋に移動します。
画像提供:米国大気海洋庁(NOAA)太平洋海洋環境研究所(PMEL)Tropical Atmosphere-Ocean(TAO)プロジェクト・オフィス、Dr. Michael J. McPhaden。
この図はTRMMと静止気象衛星および地上雨量計のデータを組み合わせた複合プロダクト(TRMM and Others Combined)による、月平均降水量の平年値からの偏差です。海面水温の変化に対応して降雨の分布が変化している様子がわかります。7月には日本の南で雨が平年よりも多く、台風が多く発生しました。また、9月には降雨の中心が中部熱帯太平洋に移動し、11月には熱帯収束帯(ITCZ)の位置が南側にシフトしています。