衛星搭載合成開口レーダ(SAR)による有珠山地形の時間変化について |
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宇宙開発事業団
平成12年5月16日
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宇宙開発事業団では本年3月31日以来、噴火を続けている有珠山およびその周辺地域を衛星搭載合成開口レーダ(カナダ:レーダサット)を用いて観測してきました。入射角を変え、観測方位を変え、ほぼ2日に一度の割合で観測した多くのデータ(4月から5月にかけて合計18データ)を整理した結果、火山噴火等に伴う地形変化の時間的・空間的な推移が抽出できましたのでここにお知らせします。
- 1) 12月11日から4月11ないし12日までの間に西山山麓西側を中心として、おおよそ500メートル四方の領域が最大30メートル程度隆起した。4月12日以降の隆起は小さいかあるいは無い。データには多少のばらつきがみられるが(4ないし5メートル)噴火開始から4月12日までほぼ線形に上昇している。(図1参照)
- 2) 隆起は主として西山山麓西方が中心であるが、金比羅山西側の隆起も確認できる。
使用しているマイクロ波の波長が5.6cmと短く、良い干渉が得られないために、本処理はSAR干渉処理ではなく、2枚のSAR画像の対応点検出処理を微少領域毎に画像全面に渡っておこなう方法を採用しました。その距離差が地形変化量に対応します。尚、SARの観測の模式図を図2に示します。
衛星およびセンサ:レーダサット(波長5.6cm)、軌道高度約800km
データ:
図1: | 最大隆起点の時間変化(チェックポイントは西山山麓) |
画像1: | 1999年12月11日〜2000年4月9日までの変化量、4月9日〜5月4日間の変化量、1999年12月11日〜5月4日間の変化量:北向き軌道、入射角約23度 |
画像2: | 1999年12月11日から2000年5月6日までの4種類の組み合わせ。北向き軌道(アセンディング |
画像3: | 2000年4月2日から2000年5月6日間での4種類の組み合わせ。南向き軌道 |
画像4: | 4月3日〜4月27日の変化量の三次元画像 |
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図1 西山山麓における隆起量の時間変移 |
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図2 SARによる地形変化抽出の原理 |
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画像1 1999年12月11日〜2000年4月9日までの変化量、4月9日〜5月4日間の変化量、1999年12月11日〜5月4日間の変化量:北向き軌道、入射角約23度 |
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高解像度画像 (289KB)
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RADARSAT R-Data(C)CSA 2000 |
受信処理: |
NASDA |
画像作成: |
NASDA/RESTEC |
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画像2 1999年12月11日から2000年5月6日までの4種類の組み合わせ。北向き軌道(アセンディング) |
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高解像度画像 (386KB)
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RADARSAT R-Data(C)CSA 2000 |
受信処理: |
NASDA |
画像作成: |
NASDA/RESTEC |
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画像3 2000年4月2日から2000年5月6日間での4種類の組み合わせ。南向き軌道 |
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高解像度画像 (329KB)
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RADARSAT R-Data(C)CSA 2000 |
受信処理: |
NASDA |
画像作成: |
NASDA/RESTEC |
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画像4 4月3日〜4月27日の変化量の三次元画像 |
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高解像度画像 (141KB)
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RADARSAT R-Data(C)CSA 2000 |
受信処理: |
NASDA |
画像作成: |
NASDA/RESTEC |
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