災害

2020.07.07(火)

活発化した梅雨前線に伴って発生した九州地方の線状降水帯の観測

2020年7月6日現在、活発化した梅雨前線が九州付近に停滞し、九州地方を中心に甚大な被害が発生しています。被害を受けられた方々に対し、謹んでお見舞い申し上げます。

JAXAでは、降水状況の把握に関する情報提供の観点から、全球降水観測計画(GPM)主衛星衛星全球降水マップ(GSMaP)など、宇宙から雨の状況を観測しているデータを用いて解析を実施いたしました。

図1は衛星全球降水マップ(GSMaP)による7月5日の日降水量の分布を示しています。梅雨前線に伴う降水帯が東西に長くのびている様子が確認できます。特に九州周辺では、250mmを超える降水量が宇宙からも捉えられています。

2020年7月5日(日本時間)の衛星全球降水マップ(GSMaP)による日降水量の分布

図1:2020年7月5日(日本時間)の衛星全球降水マップ(GSMaP)による日降水量の分布

さらにJAXAでは、全球降水観測計画(GPM)の主衛星に搭載されている雨雲スキャンレーダという名でも知られる二周波降水レーダで、高精度に三次元で世界の雨を観測しています。図2には、雨雲スキャンレーダが、梅雨前線に伴って発生した線状降水帯の一部を観測した際の三次元の降水の構造を示しています。

動画版はこちらからご覧いただけます。

雨雲スキャンレーダ(二周波降水レーダ)が観測した2020年7月5日12時40分(日本時間)の梅雨前線に伴う降水帯の鉛直構造

図2:雨雲スキャンレーダ(二周波降水レーダ)が観測した2020年7月5日12時40分(日本時間)の梅雨前線に伴う降水帯の鉛直構造

宇宙から三次元で雨を高精度にはかることのできる衛星は、現在、この雨雲スキャンレーダ(DPR)1機のみであり、立体的な降水の観測により、各地の雨の特徴の理解が深まることで、雨を推定する気象予報モデルの改善に貢献できます。DPRの観測データは、2016年3月から気象庁の現業数値予報にも定常的に使われており、日々の天気予報にも役立っています。

JAXAは、Withコロナ社会での防災・避難対策の見直し等が求められる中、DPRやGSMaPといった地球観測データを活用して、現況の把握や災害予測の精度向上などに貢献していきます。

関連サイト

最新情報を受け取る

人工衛星が捉えた最新観測画像や、最新の研究開発成果など、
JAXA第一宇宙技術部門の最新情報はSNSでも発信しています。