データ・画像 > 観測データ解析の成果
ADEOS衛星搭載のNSCATセンサで見たエルニーニョ現象

昨年8月17日に宇宙開発事業団によって打ち上げられた地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS・みどり)は、打ち上げ約一ヶ月後から観測を続け、今年の6月30日の運用停止までに多くの貴重なデータをわたしたちに残してくれた。

ここに載せる図は、ADEOSに搭載された米国航空宇宙局(NASA)が開発したマイクロ波散乱計(NSCAT)から得られた海上風の月平均データである。データは、NASAジェット推進研究所(JPL)が提供するNSCAT-1アルゴリズムから算出したレベル3の1日1回の格子点データを月平均して用いた。ちょうど観測期間がエルニーニョの発生期にあたっていたため、このエルニーニョの発生に対応してどのように海上風が変化しているのかが興味深い点である。

図には、昨年の12月(上図)と今年の6月(中図)とその差(下図)が示してある。 白い矢羽根は流線を、背景色は風速を示し、青、黄、赤色にかけて風が強くなる。赤道付近に注目すると、昨年12月(上図)には、南半球の南東貿易風が、南東太平洋南アメリカ西岸沖から日付変更線付近まで伸びていることがわかる。ところが、今年6月(中図)には、この南東貿易風は、西経140度付近まで後退し、日付変更線以西は、逆に西風が吹いている。従って、これらの差をとると、赤道域東経160度から西経120度付近まで西風偏差がでていることがわかる。面白いことは、日付変更線付近から西経130度付近の赤道の両側で南北両半球から赤道に向けて吹き込む風が顕著であることである。確かに、上図では、赤道付近で発散場になっているのに、下図では、収束域になっている。

熱帯域での対流活動の良い指標である外向長波放射(OLR)をみると、昨年12月(上図)には、中部太平洋で正偏差(すなわち対流活動が平年より押さえられている)だったのに対して、今年6月(中図)には、中部太平洋域でエルニーニョに典型的な強い負偏差、活発な対流活動を示している。従って、中部太平洋で12月は地上では発散場で対流活動が不活発、6月には収束場で対流活動が活発になっているわけである。

このように、NSCATのデータは、OLRの結果と良く対応していることがわかる。

Difference of 
Sea Surface Wind

Difference of
outgoing longwave radiation (OLR)

Seasonal Change of
Zonal Wind

Seasonal Change of
Outgoing Longwave Radiation (OLR)