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地球が見える 2021年

スエズ運河座礁船と船舶渋滞を観測(続報:3月31日観測を追加)

スエズ運河では2021年3月23日午前7時40分(現地時間、標準時では5時40分)頃に大型コンテナ運搬船の座礁事故が発生し、船舶が通航できずに渋滞する状況が続いていましたが、現地時間29日夕方に座礁船の離礁が成功し、通航が再開しました。
JAXAでは陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)によるスエズ運河の観測を3月26日、3月31日に行い、座礁船と停滞船舶の様子を確認しました。3月31日時点も多くの船舶の停滞が続いており、4月6日も引き続き「だいち2号」の観測を行い、その様子を確認する予定です。
事故当日は砂嵐があったとの報道がありましたが、気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)観測によるエアロゾル(砂塵)についても紹介します。

「だいち2号」(ALOS-2)によるレーダ観測画像

図1にスエズ運河周辺の地図を示します。座礁事故はスエズ運河の途中にある、グレートビター湖の南側の水路で発生しました。

スエズ運河付近の地図と船舶座礁位置

図1. スエズ運河付近の地図と船舶座礁位置

図2に3月26日 10時23分(標準時)にだいち2号に搭載された合成開口レーダ(PALSAR-2)で観測した、座礁したコンテナ運搬船付近の画像を示します。この座礁船は全長400mあり、運河の幅よりも長いため、完全に運河を塞いでいることがわかります。座礁船の周りには、タグボート等と思われる船舶も見ることができます。

3月26日 10時23分(標準時)の「だいち2号」搭載の合成開口レーダ(PALSAR-2)画像。a) スエズ運河付近、b) a)座礁船付近を拡大したもの。

図2. 3月26日 10時23分(標準時)の「だいち2号」搭載の合成開口レーダ(PALSAR-2)画像。a) スエズ運河付近、b) a)座礁船付近を拡大したもの。

図3、図4は、それぞれ座礁事故前後及び通航再開後のスエズ運河の南側入口付近(スエズ湾)(図3)及び北側のグレートビター湖付近(図4)におけるレーダ画像を示します。海上の輝点一つ一つが船舶を示しています。また図5はそれぞれの船舶数変化をグラフで表したものです。スエズ湾での船舶の滞留(通航待ち)は、事故前の2021年1月12日でも確認されました(61隻)が、事故後の3月26日は87隻に増えました。通航再開後の3月31日では、69隻となっており、通航待ちの船舶が再開前より減少していることがわかります。一方、北側のグレートビター湖では、事故前の船舶は1隻のみでしたが、事故後は大量の船舶(40隻)が運河には入れずに滞留していました。通航再開後はさらに48隻に増加しています。これはグレートビター湖がスエズ運河の途中にあるため、地中海側で待機していた船舶が湖に入ってきて、通航を待っていると考えられます。図3、図4にいずれでも、船舶が運河を通航する様子が見えていますので、待機する船舶は徐々に減少していくと考えています。(いずれも撮像された箇所のみの船舶数を数えています)。

<運河入口(スエズ湾)>

図3. スエズ運河の南側入口付近(スエズ湾)におけるa) 1月12日 21時42分(標準時)(事故前)、b) 3月26日 10時23分(標準時)(事故後)及びc) 3月31日 10時30分(標準時)(通航再開後)のレーダ画像。

<運河中腹(グレートビター湖)>

図4. 図3に同じ、ただしグレートビター湖付近(スエズ運河中腹、座礁現場よりも北側)のレーダ画像。

スエズ湾及びグレートビター湖付近における船舶数変化(図3及び図4で示す領域の船舶数を数えています)

図5. スエズ湾及びグレートビター湖付近における船舶数変化(図3及び図4で示す領域の船舶数を数えています)

(補足:「だいち2号」はAIS信号を受信可能ですが、船舶の多い海域では衛星による受信は難しく、スエズ運河のように陸地に近い場所では、陸上に設置されたアンテナによるAIS受信信号情報が活用されています。陸上AISデータを用いた船舶の位置情報については、例えば、マリントラフィックのライブマップ等で見ることができます。)


「しきさい」(GCOM-C)観測によるエアロゾル(砂塵)情報

座礁事故の原因については、砂嵐の影響も報道されています。「しきさい」でのエアロゾル観測結果を図6に示します。事故発生の3月23日は、「しきさい」によるスエズ運河付近の観測はありませんでしたが、翌3月24日はエアロゾル(砂塵)の多い様子が観測されました(南西から北東方向に、茶色の筋状に見えています)。

観測画像について

画像:観測画像について


図2、3

観測衛星 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
観測センサ フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)
観測日時 事故前:2021/1/12 21:42(UTC)
事故後:2021/3/26 10:23(UTC)
通航再開後:2021/3/31 10:30(UTC)
観測モード 事故前:SM3、アセンディング、右観測、オフナディア角:32.5度、偏波: HH
事故後:SM1、ディセンディング、左観測、オフナディア角:28.7度、偏波: HH
通航再開後:SM1、ディセンディング、左観測、オフナディア角:38.2度、偏波: HH

図4

観測衛星 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)
観測センサ 多波長光学放射計(SGLI)
観測日時 2021年3月22日(左)
2021年3月24日(中)
2021年3月25日(右)

関連リンク

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