ページの先頭です。
本文へジャンプする。
【重要なお知らせ】このページは過去に公開された情報のアーカイブページです。更新を終了しているため、リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。 最新情報については、新サイト Earth-graphy (earth.jaxa.jp) をご利用ください。
ここからサイト内共通メニューです。
サイト内共通メニューを読み飛ばす。
サイト内共通メニューここまで。
ここから本文です。

地球が見える 2021年

スエズ運河座礁船と船舶渋滞を観測(続報:4月6日及び4月9日観測を追加)

スエズ運河では2021年3月23日午前7時40分(現地時間、標準時では5時40分)頃に大型コンテナ運搬船の座礁事故が発生し、船舶が通航できずに渋滞する状況が続いていましたが、現地時間29日夕方に座礁船の離礁が成功し、通航が再開しました。
一時は422隻の船舶が運航を待つ状態で足止めされていましたが、4月4日の報道等によると、4月3日にその全てが運河を通過したとのことです。ただその後も、新たに運河の入口に到着した船も多く、完全な渋滞解消には時間がかかるようです。
JAXAでは陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)によるスエズ運河の観測を3月26日、3月31日、4月6日、4月9日に行い、座礁船と渋滞船舶の様子を確認しました。
事故当日は砂嵐があったとの報道がありましたが、気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)観測によるエアロゾル(砂塵)についても紹介します。

「だいち2号」(ALOS-2)によるレーダ観測画像

図1にスエズ運河周辺の地図を示します。座礁事故はスエズ運河の途中にある、グレートビター湖の南側の水路で発生しました。

スエズ運河付近の地図と船舶座礁位置

図1. スエズ運河付近の地図と船舶座礁位置

図2に3月26日 10時23分(標準時)にだいち2号に搭載された合成開口レーダ(PALSAR-2)で観測した、座礁したコンテナ運搬船付近の画像を示します。この座礁船は全長400mあり、運河の幅よりも長いため、完全に運河を塞いでいることがわかります。座礁船の周りには、タグボート等と思われる船舶も見ることができます。

3月26日 10時23分(標準時)の「だいち2号」搭載の合成開口レーダ(PALSAR-2)画像。a) スエズ運河付近、b) a)座礁船付近を拡大したもの。

図2. 3月26日 10時23分(標準時)の「だいち2号」搭載の合成開口レーダ(PALSAR-2)画像。a) スエズ運河付近、b) a)座礁船付近を拡大したもの。

図3、図4は、それぞれ座礁事故前(1月12日)から通航正常化後(4月9日)までのスエズ運河の南側入口付近(スエズ湾)(図3)及び北側のグレートビター湖付近(図4)におけるレーダ画像を示します。海上の輝点一つ一つが船舶を示しています。また図5はそれぞれのスエズ湾、グレートビター湖の船舶数変化をグラフで表したものです(いずれも撮像された箇所のみの船舶数を数えています)。

スエズ湾側は事故の前後関係なく、常に船舶が待機している様子がわかります(図3)。スエズ湾での船舶の滞留(通航待ち)は、事故前の2021年1月12日でも確認されました(61隻)が、事故後の3月26日は87隻に増えました。通航再開後の3月31日では69隻と減少しました。その後通航が正常化した4月6日には107隻、4月9日に57隻となっていることから、スエズ湾では、船舶が事故のあるなしに関係なく常に湾内で通航待ちをしていることがわかります。

一方のグレートビター湖では、事故後のレーダ画像でおおよそ2列に並んだ船舶が見えています(図4b)。さらに通航開始後の3月31日と4月9日は、その2列の間にも船舶がいる様子が見えます(図4c, 図4e)。特に4月9日の画像は、船舶の航跡がはっきりと見え、この船舶が移動している様子がわかります。グレートビター湖はスエズ運河の途中にあり、その南側は単線区間になっています。この区間が北向き(スエズ湾→グレートビター湖)通航の場合、地中海側から湖に入ってきた船舶が、2列に並んで停泊しながら、すれ違いを待っていて、その間を南から運河を抜けてきた船舶が移動していると考えています。事故直後(図4b)は2列の船舶の間を通過する船舶がいなかったため、グレートビター湖での船舶隻数は、事故直後(40隻)よりも、運航開始後(48隻:3月31日、57隻:4月9日)の方が多くなっていると考えています。このような運航は、単線区間の通航方向によって変わるため、単線区間が南向き通航の場合には、逆に船がいなくなります。そのため図4a, 4dのように、別な時間では(標準時で21:45付近)では、湖に船がいなくなると考えています。今回レーダによる船舶数の変化を調べていましたが、時間帯別の通航状態も考慮する必要があると考えられるため、さらに確認を行う予定です。

<運河入口(スエズ湾)>

図3. スエズ運河の南側入口付近(スエズ湾)におけるa) 1月12日 21時42分(標準時)(事故前)、b) 3月26日 10時23分(標準時)(事故後)及びc) 3月31日 10時30分(標準時)(通航再開後)、d) 4月6日21時47分及びe) 4月9日10時23分(どちらも正常化後)のレーダ画像。

<運河中腹(グレートビター湖)>

図4. 図3に同じ、ただしグレートビター湖付近(スエズ運河中腹、座礁現場よりも北側)のレーダ画像。

スエズ湾及びグレートビター湖付近における船舶数変化(図3及び図4で示す領域の船舶数を数えています)

図5. スエズ湾及びグレートビター湖付近における船舶数変化(図3及び図4で示す領域の船舶数を数えています。ただし4月6日のグレートビター湖付近の観測画像は、領域が欠けているので参考値)

(補足:「だいち2号」はAIS信号を受信可能ですが、船舶の多い海域では衛星による受信は難しく、スエズ運河のように陸地に近い場所では、陸上に設置されたアンテナによるAIS受信信号情報が活用されています。陸上AISデータを用いた船舶の位置情報については、例えば、マリントラフィックのライブマップ等で見ることができます。)


「しきさい」(GCOM-C)観測によるエアロゾル(砂塵)情報

座礁事故の原因については、砂嵐の影響も報道されています。「しきさい」でのエアロゾル観測結果を図6に示します。事故発生の3月23日は、「しきさい」によるスエズ運河付近の観測はありませんでしたが、翌3月24日はエアロゾル(砂塵)の多い様子が観測されました(南西から北東方向に、茶色の筋状に見えています)。

観測画像について

画像:観測画像について


図2、3

観測衛星 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
観測センサ フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)
観測日時 事故前:2021/1/12 21:42(UTC)
事故後:2021/3/26 10:23(UTC)
通航再開後:2021/3/31 10:30(UTC)
正常化後:2021/4/6 21:47 (UTC)
正常化後2:2021/4/9 10:23 (UTC)
観測モード 事故前:SM3、アセンディング、右観測、オフナディア角:32.5度、偏波: HH
事故後:SM1、ディセンディング、左観測、オフナディア角:28.7度、偏波: HH
通航再開後:SM1、ディセンディング、左観測、オフナディア角:38.2度、偏波: HH
正常化後:SM1、アセンディング、右観測、オフナディア角:32.9度、偏波: HH
正常化後2:SM1、ディセンディング、左観測、オフナディア角:28.7度、偏波: HH

図4

観測衛星 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)
観測センサ 多波長光学放射計(SGLI)
観測日時 2021年3月22日(左)
2021年3月24日(中)
2021年3月25日(右)

関連リンク

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
画像:ページTOP