全球降水観測計画(GPM)概要

球降水観測計画(GPM)は、現在運用中の熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継・拡張ミッション計画であり、米国航空宇宙局(NASA)、宇宙開発事業団(NASDA) と通信総合研究所(CRL)が中心となり推進している地球観測衛星計画のひとつです。

米共同ミッションである熱帯降雨観測計画はその名の通り、大気大循環の駆動源と いわれる熱帯地方の降水活動を観測対象としています。GPMは、TRMMのこれまでの科学的・技術的な成功を継承し、 TRMMでは実現していない高緯度地方までを含む広範囲の降水活動を高頻度で観測することを目指すものです。 降水活動は、人類の生存に欠くことのできない水の循環の一部であり、その実態を把握することは水資源の確保 の点からも重要です。また、降水は今日懸念される地球温暖化などの気候変動の指標でもあり、その変化を捉え ることが気候変動のメカニズムの理解に直接的につながります。

GPMでは、TRMMと同様の、降水レーダとマイクロ波放射計を搭載した太陽非同期軌道衛星1機(主衛星)と、 マイクロ波放射計を搭載した太陽同期極軌道衛星(副衛星)複数機から構成されます。

衛星は、2周波降水レーダとマイクロ波放射計で同時に降水を測定することで、降水活動の詳細を観測する ことができ、この観測データをもとに、マイクロ波放射計の降水強度推定アルゴリズムの高精度化を実現します。 副衛星で実施されるマイクロ波放射計の降水観測は、この降水強度推定アルゴリズムを利用することで、より 信頼性のあるものが達成できると考えられています。

衛星は、NASA、欧州宇宙機関(ESA)をはじめとする世界の宇宙関連機関の国際協力で打ち上げ、最終的に8 機程度に増やすことを目標にしています。これら8機の極軌道衛星のマイクロ波放射計のデータを一同に収集 ・処理することで、3時間毎の全球の降水分布を求めることができ、GPMでは、この全球の降水分布のデータを ほぼリアルタイムで配信することを計画しています。この即時的な降水分布のデータは、科学研究のみならず、 天気予報・洪水予測・水資源管理などの社会生活へのさまざまな利用が可能になります。

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