1B21キャリブレーションテーブルについて


プロダクトバージョン5のデータは1999年11月にリリースされました。このプロダクトの主な変更点は、線形方程式で与える代わりに1B21におけるキャリブレーションテーブルを利用することであり(図1)、特に地表面後方散乱断面積σ0のような強いエコー強度を求める場合に有効となります。バージョン5におけるこのキャリブレーションカーブは、下方の非線形部分、線形部分、上方の非線形部部の3つで構成されており、非線形部分は、キャリブレーションデータ(図1の三角)に2次関数にフィットするように計算されていますが、バージョン4では一定値が割り当てられています。

図1 プロダクトバージョン4(濃いライン)、バージョン5(ボールドライン)、キャリブレーションデータ(三角)の1B21キャリブレーションテーブル

プロダクトバージョン5を数ヶ月間運用した後、図2に示すキャリブレーションカーブにおける線形部分と非線形部分に小さな差異があることが明らかになり、もしサンプリング間隔が狭い場合には、図2下に示すその差異はσ0の統計値に影響を与える可能性が考えられます。非線形部分は2次関数として表されるため、入力電力対出力電力の間隔は、図2に表すカウント値により増加します。これはまた統計の差異の原因となると考えられます。

一方、データ処理を開始した1997年12月からの再処理の結果、内部減衰の切り替えによって実施されたPRの初期チェックアウト時である1997年12月17日?20日は予期しないエコーが見られることがわかりました。このエコーは明らかに降雨によるものではなく、テーブルの下方の非線形カーブがこの予期しないエコーが原因であることがわかりました。



図2 プロダクトバージョン5のキャリブレーションカーブ(上図) キャリブレーションカーブの傾き(下図)

データを利用する際には、強いエコー(特にσ0)や1997年12月17?20日の弱いエコーを取り扱う際には、注意が必要です。

詳細については下記まで 

高橋 暢宏
NASDA/EOSD
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル
TEL;03-3438-6352
e-mail; takahashi.nobuhiro3@nasda.go.jp


|| Back || || English ||