TRMMの観測装置

PR,TMI,VIRSによる観測

アルゼンチンの降雨 - 1998年12月20日


図1. VIRS: RGB color composite   図2. TMI: 85GHz V-POL. Brightness Temperature


図3. PR: Horizontal Cross Section of Rain at 2.0km Height   図4.PR: Vertical Cross Section
 この図は1998年12月20日10:40〜10:48頃のアルゼンチン北部からウルグアイにかけての降雨を、可視赤外観測装置(VIRS)、TRMMマイクロ波放射観測装置(TMI)、降雨レーダ(PR)が同時に観測した画像です。図1はVIRSのCh1(可視)に赤、Ch2(近赤外)に緑、Ch4(赤外)に青を振り分けて合成した画像、図2はTMIの周波数85GHzの垂直偏波による輝度温度の分布、図3,4はPRの高度2.0kmの水平断面と線A-Bに沿った垂直断面です。

図1で、上層にある光学的に厚い雲はCh1の反射率が大きく、温度が低いために、赤系統の色に見えます。図3から、それに対応する領域で雨が降っていることが確認できます。図4より、下層の降雨が強い領域では、その上層にまで降雨が発達していることがわかります。一般に、高く発達した降雨の上層には氷晶等が存在しています。その氷晶等によるマイクロ波の散乱により、図2では、輝度温度が低下していることがわかります。このように3つのセンサで同時に観測することによって、雲の中で起きている降雨のプロセスと降雨の特徴を把握することが出来ます。


レベル3プロダクト(月積算降水量)の比較 - 2000年5月

図1 TMI 3A11 図4 COMB 3B31 from TMI 2A12
図2 PR 3A25 (Grid 1) 図5 COMB 3B31 from COMB 2B31
図3 PR 3A25 (Grid 2) 図6 3B43 TRMM & Other Data Sources
これらはPR、TMI、PRとTMIを組み合わせた複合アルゴリズム(COMB)、TRMMと静止気象衛星および地上雨量計のデータを組み合わせたアルゴリズム(TRMM and Others Combined)などのレベル3標準プロダクト(月平均、緯度経度格子データ)から求めた、2000年5月の地表面での月積算降水量分布を示しています。以下にそれぞれのアルゴリズムの説明を示します。
  1. 3A11(TMI Emission):TMIレベル1データ(輝度温度)を用いて、5度×5度格子の海洋上の月積算降水量分布(図1)を作成します。
  2. 3A25(PR Rainfall):PRレベル2データ(降雨強度)を用いて、低分解能(5度×5度格子、地表面および鉛直5層)および高分解能(0.5度×0.5度格子、地表面および鉛直3層)の月平均降雨強度を作成します。ただし、図2(低分解能)および図3(高分解能)は、他のプロダクトと比較するため、月積算降水量を別途計算して示しています。
  3. 3B31(Rainfall Combined):TMIとPRの複合プロダクト(2B31)に含まれる、PRの観測幅(220km)のデータで作成された高品質の降水量を用いて、TMI2A12プロダクト(降水量)の広い観測幅(760km)のデータの校正を行い、5度×5度格子の月積算降水量分布(図4)を地表面及び鉛直14層について作成します。また、2B31プロダクトから計算した5度×5度格子の月積算降水量分布(図5)についても、地表面及び鉛直14層のデータを作成します。
  4. 3B43(TRMM and Other Data Sources):TRMM、静止気象衛星の赤外画像および雨量計のデータから、TRMM観測領域内の「最良」の月平均降水量を1度×1度格子で提供します。ただし、図6は他のプロダクト比較するため、月積算降水量を別途計算して示しています。