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GPM主衛星のノミナル高度の変更について

(2024年3月5日追記)
2024/3/5 14:00(JST)より軌道高度変更に対応したGPM/DPR標準プロダクト(L1BはV07B、その他はV07C)の提供を再開いたしましたので、ご報告いたします。
なお、アルゴリズムの改良点、ファイルフォーマット、ファイル名体系など詳細は、以下Webページをご参照ください。
[EORC/DPRのWebページ]
[EORC/GSMaPのWebページ]
GPM軌道高度変更にご協力頂き、ありがとうございました。

  

(2024年1月16日追記)
JAXAおよび米国NASAは、全球降水観測計画(GPM)二周波降水レーダプロダクト(DPR)バージョン07Xの準リアルタイム処理プロダクトのリリースを2024年1月16日17時より開始しました。このバージョン07Xは、GPM主衛星のノミナル高度の変更に対応した初めてのプロダクトとなります。V07Xは実験版の位置づけで、校正や評価を継続し、2024年3月にDPR標準プロダクト(校正検証済み)の提供を再開することを予定しています。
詳細は「GPM/DPR V07X Product Note」をご参照ください。

  

(2023年12月14日追記)
GPMの高度変更について、解説した動画をyoutubeに掲載しました。
きれいなオーロラは衛星の天敵!?GPMの危機を救え!

  

(2023年12月1日追記)
GPM主衛星は、11月7日、8日の2日(2回)にわたり、高度変更のためのマヌーバを実施し、目標高度である約442kmに到達しました。衛星は、現在、正常に観測を継続しており、今後、残推薬量から2030年頃までの運用が可能と考えられています。

DPR機能等に想定外の問題は発生していません。また、DPRデータの一次評価においても問題はみられない状況です。また、GPMやGSMaPについては、軌道高度変更に対応したプロダクトの提供を再開しています。他方、DPRについては、今後予定しているアルゴリズムバージョンアップを行なった後、DPRプロダクトの提供を再開する予定です。

GPMのデータ提供スケジュールに関しては、最初のメールと同じく、下記の通りです(2023年11月時点)。
・2024年1月初旬 DPR準リアルタイムデータの提供再開
・2024年3月 DPR標準プロダクト(校正検証済み)の提供再開

皆様には御迷惑をおかけ致しますが、御理解と御協力をお願い申し上げます。

  

(2023年11月1日追記)
2023/11/7 17:00(JST)より、GPM主衛星のノミナル高度変更に伴い、GPM/DPRプロダクト(V07)の提供を中断します。提供再開は、DPR準リアルタイムプロダクトは2024年1月、DPR標準プロダクトは2024年3月を予定しています。
詳しくはこちら

  


  

JAXAとNASAは、ミッション期間を延長するため、11月7日に、GPM主衛星のノミナル高度を、現在の約407kmから約442kmに変更します。

  

二周波降水レーダ(DPR)を搭載したGPM主衛星は2014年2月28日に打ち上げられ、2017年5月に3年2か月の定常運用期間を終了し、現在後期利用運用段階にあります。GPM主衛星はコントロールドリエントリーが計画されており、そのために必要な残推薬量に達するのは、最短で2034年12月と予測されていました(2017年5月時点)。

しかしながら、最近の太陽活動が予測以上に活発になり、ミッション期間が数年以上短縮され、2027年半ばにミッション終了となりうることが示唆されたため、NASA及びJAXAにおいて軌道高度変更の検討を実施してきました。また2023年7月に、日米合同降水サイエンスチーム(JPST)は、軌道高度を上げることによるミッション期間延長をNASA及びJAXAに提言しました。GPMデータを利用する気象庁等の現業機関、研究機関、大学、民間企業等で構成される、地球観測に関する科学アドバイザリ委員会降水観測ミッション分科会(分科会長:高薮縁 東京大学教授)においても、軌道高度変更の計画は了承されました。その後、JAXAとNASA間で合意し、2023年11月初旬(11月8~10日を予定)に、GPM主衛星の軌道高度変更を実施します。

  

このGPMの軌道高度変更により、下記が期待できます。

・熱帯降雨観測衛星(TRMM)からの30年を越えて連続する、衛星降水観測データの蓄積、提供。

・ 2028年度に打上げが予定されている降水レーダ衛星(PMM)とのオーバーラップ期間の確保、相互校正/検証による一貫性のある観測の継続。

  

GPM主衛星の高度変更の影響としては下記が想定されています。

① 衛星バス及びGMIへの影響
現時点で衛星は順調に運用を継続しており、今後、軌道高度を上げても、衛星運用の安全性に影響がないことがNASAにより確認されてます。マイクロ波放射計(GMI)についても高度変更により、フットプリントが大きくなりますが、高度変更の影響は非常に小さいことが見込まれています。

② DPRへの影響
高度を上げることによりDPRの走査幅が広くなり、感度や分解能が若干劣化することから、観測可能な最小測定降水強度が低下する等の観測性能が低下します。想定するDPRの観測性能の変化は表1、ならびに表2に示します。

表1:軌道高度変更に伴うDPRの空間分解能や観測幅の変化

衛星高度 空間分解能 観測幅
衛星直下(アングルビン番号25) 観測端(アングルビン番号1, 49)
407km 5.04km×5.04km 5.04km×5.57km 255.8km
442km 5.48km×5.48km 5.48km×6.05km 277.9km

表2:軌道高度変更に伴うDPRの感度低下の見積もり(NICT 金丸 佳矢博士提供)

衛星高度 空間分解能 S/N change
(total)
407 km ~5.0 km  
430 km ~5.3 km - 0.64 dB
450 km ~5.6 km - 1.11 dB

ノミナル軌道442km(高度範囲432km~454km)での運用のためにDPRアルゴリズム改修が必要であることから、軌道変更後しばらくの間、標準プロダクトのデータ提供を停止致します。提供停止期間中のプロダクトは、提供再開後に過去にさかのぼって再処理を行う予定です。GPM軌道変更の日程とデータ提供スケジュールに関しては下記の通りです(2023年10月時点)。皆様には御迷惑をおかけ致しますが、御理解と御協力をお願い申し上げます。

  

・2023年11月初旬 軌道高度変更実施、DPRデータの提供中断開始

・2024年1月初旬 DPR準リアルタイムデータの提供再開

・2024年3月 DPR標準プロダクト(校正検証済み)の提供再開

  

なお、GMIやGSMaPのデータ提供は継続します。

  

GPM主衛星の軌道高度変更についてはNASAも下記の特設ページを設置していますので、紹介します。