News大西洋上の船が作った航跡雲

船舶の航行時に放出される排気ガスには可溶性の微粒子が含まれています。湿った気象条件の海洋上において、航跡雲はこの微粒子を核として生成されます。
図1は2018年1月16日の大西洋上に発生した航跡雲をGOSAT/TANSO-CAIが観測した画像で、図2にポルトガル近郊の海洋域の拡大図を示します。船舶の排気ガスによって生成された雲は、一般の雲に比べて多くの水滴を有しており、より明るい雲として見えます。図1、2では筋状の雲が多くみられ、地中海から北米へ向けての航跡や南米・アフリカから北ヨーロッパに向けての航跡など多くの船が行き交っているのが見られます。
航跡雲は反射率が高いため太陽放射を反射して地表を冷却する効果があると言われています。しかし、この効果が地球規模に与える影響を明らかにするには、まだ定量的に扱えないプロセスが多くあり、気候科学分野で最も解明されていない作用の一つです。

※カラー画像は、TANSO-CAIのバンド2(674 nm)、バンド3(870 nm)、バンド1(380 nm)の各データをRGBに割り当て作成

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図1 大西洋上で発生した航跡雲を捉えたGOSAT/TANSO-CAI画像

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図2 ポルトガル近郊の海上の拡大画像(図1の赤枠)

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