観測データとプロダクト
EarthCAREの観測データは、さまざまなデジタル処理の過程を経て、ユーザが利用可能なプロダクトに仕上げられます。EarthCAREのプロダクトはJAXAとESAの両方で独自のものが作成・リリースされ、データ配布システムを通じてユーザに提供されます。
JAXAでは、精度検証をおこなって一定の品質基準を満たしたプロダクトを「標準プロダクト」としてリリースします。標準プロダクトは、リリース後もデータ処理アルゴリズムの改良やチェックが加えられ、定期的なバージョン更新もおこなわれることになっています。
JAXA標準プロダクトの処理レベル
JAXAのEarthCARE標準プロダクトは、デジタル処理の段階によって「レベル1b」「レベル2a」「レベル2b」の各処理レベルのプロダクトに分けられます。
レベル2a以降のプロダクトを「高次プロダクト」、そしてそれらを作成するための処理を「高次処理」と呼ぶこともあります。
EarthCAREの場合の処理レベルの位置づけは、レベル1bは、センサから得られた観測データのデジタル信号を物理量(工学値)に変換したもの、レベル2aおよび2bは、各センサの工学値をもとに高次処理アルゴリズムによって気象学・大気物理学的な特性を示す値に変換したもので、レベル2aはセンサごとに作成するもの(センサ単体プロダクト)、レベル2bは複数のセンサによる情報を統合して作成するもの(センサ複合プロダクト、シナジープロダクト)、という基本的な考え方にもとづいています。
したがって、レベル1b、および2aプロダクトはおのおののセンサごと、レベル2bプロダクトは複数センサの組み合わせごとに提供されます。
プロダクトの 処理レベル |
EarthCAREプロダクトにおける位置づけ | 含まれるデータの例 |
レベル1b(L1b) | センサ単体の観測データを工学値変換した物理量を含むプロダクト | CPR L1b:受信電力、地表面レーダ断面積、ドップラー速度など |
レベル2a(L2a) | センサ単体による観測値をもとに、気象学・大気物理学的な特性を示す物理量に変換した高次プロダクト | CPR L2a:雲水量、雲氷量、雲粒有効粒径、光学的厚さなど ATLID L2a:消散係数、後方散乱係数、偏光解消度、大気境界層高度など |
レベル2b(L2b) | 複数のセンサによる観測値をもとに、気象学・大気物理学的な特性を示す物理量に変換した高次プロダクト | CPR-ATLID複合 L2b:雲水量、雲氷量、雲粒有効粒径、光学的厚さなど 4センサ複合 L2b:短波・長波放射フラックスなど |
JAXAの全標準プロダクトの一覧は、EarthCARE JAXA標準プロダクトリストをご覧ください。