最新観測画像 2014年

平成26年7月8日
平成26年7月9日更新
平成26年7月10日更新
平成26年7月11日更新
宇宙航空研究開発機構

平成26年台風8号観測画像

台風8号は、7月に日本に近づく台風としては、これまででも最大級の強さになりました。これに伴い気象庁は沖縄県に気象特別警報を出しました。昨年特別警報を発令することになってから、台風で発令になったのは初めてのケースです。また、この台風の影響で、東北地方や東海地方にも激しい雨が降り、長野県などで土砂災害が発生しました。

7月11日17時掲載画像

*画像は、土地被覆の状況をより詳しく判別するため、観測から得られた偏波のデータを用いて疑似的にカラー化しています。大まかに緑色が森林(植生)、明るい紫色や黄緑色が市街地、暗い紫は裸地を表します。

観測衛星/センサ:陸域観測技術衛星2号(だいち2号)/Lバンド地表可視化レーダ(PALSAR-2)
観測日時:2014年7月11日12時52時分頃(日本時間)
観測場所:長野県南木曽町付近


長野県南木曽町付近約3km四方の範囲について、
画像左:災害前に「だいち1号」搭載のPALSARで観測した画像(2010年8月12日観測)
画像右:今回災害後に「だいち2号」PALSAR-2で観測した画像を示しています。
図中の○印は、今回土砂が流れてきた場所を示します。

画像左
観測衛星/センサ:陸域観測技術衛星(だいち)/フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)
観測日時:2010年8月12日(日本時間)
観測場所:長野県南木曽町付近

画像右
観測衛星/センサ:陸域観測技術衛星2号(だいち2号)/Lバンド地表可視化レーダ(PALSAR-2)
観測日時:2014年7月11日12時52時分頃(日本時間)
観測場所:長野県南木曽町付近

だいち2号が捉えた南木曽町の土砂災害
だいち2号が捉えた南木曽町の土砂災害

だいち2号の画像をだいちで作成した数値地表データに重ね合わせた画像です。
図中の○印は、今回土砂が流れてきた場所を示します。

観測衛星/センサ:陸域観測技術衛星2号(だいち2号)/Lバンド地表可視化レーダ(PALSAR-2)
観測日時:2014年7月11日12時52時分頃(日本時間)
観測場所:長野県南木曽町付近

画像の詳しい解説は、以下のページを参照ください。
「だいち2号」による長野県南木曽町で発生した土砂災害の観測結果について

7月11日11時掲載画像

カラーチャートの赤い側ほど降水量が多く、赤色の箇所は1時間に25 mm以上の強い雨が降っていることを示します。

このとき台風の中心は静岡県付近にありました。観測画像では雨雲は南に偏っています。また、東北から北海道の東側にかけての広い地域で比較的強い雨が降っていることがわかります。

観測衛星/センサ:水循環変動観測衛星 しずく/マイクロ波放射計(AMSR2)

観測日時:7月11日1時45分頃(日本時間)*

観測場所:日本付近

図中の日付は世界標準時(UTC)によるものです。

7月10日14時掲載画像

このとき、台風8号の中心は宮崎県付近にありました。観測画像で台風の南側に偏って比較的強い雨が降っていることがわかります。

観測衛星/センサ:熱帯降雨観測衛星(TRMM)/降雨レーダ(PR) 観測日時:7月10日8時03分頃(日本時間) 観測場所:九州、四国付近

7月10日深夜の鹿児島県桜島付近の様子です。だいち2号はレーダによる観測を行うため、夜間でも地上の様子をはっきりととらえることができます。だいち2号も引き続き観測を続けていきます。

観測衛星/センサ:陸域観測技術衛星2号(だいち2号)/Lバンド地表可視化レーダ(PALSAR-2)

観測日時:7月10日0時40分頃(日本時間)

観測場所:鹿児島県桜島付近

いぶきが捉えた7月4日からの台風8号の雲の様子です。7月5日、6日の画像では台風の中心をはっきりと確認することができます。

観測衛星/センサ:温室効果ガス観測技術衛星 いぶき (GOSAT)/雲・エアロソルセンサ(CAI)

観測日時:7月4日~9日13時頃(すべて日本時間)

観測場所:日本付近

台風8号に伴う暴風域・強風域の分布を捉えています。赤い色が濃くなるほど風速が大きくなっていることを示します。

8日14時観測と比べると、風速が弱まっていることがわかります。

観測衛星/センサ:水循環変動観測衛星 しずく/マイクロ波放射計(AMSR2)

観測日時:7月9日2時3分頃(日本時間)

観測場所:奄美大島付近

7月9日14時掲載画像

水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)で観測した台風8号

カラーチャートの赤い側ほど降水量が多く、赤色の箇所は1時間に25 mm以上の強い雨が降っていることを示します。

観測衛星/センサ:水循環変動観測衛星 しずく/マイクロ波放射計(AMSR2)

観測日時:7月8日13時56分頃(日本時間)

観測場所:沖縄本島付近

この時間には、台風8号の中心は沖縄本島の西側にあります。降水域は台風の目の周りとその南東側に発達していることが分かります。

台風8号に伴う暴風域・強風域の分布を捉えています。赤い色が濃くなるほど風速が大きくなっていることを示します。

観測衛星/センサ:水循環変動観測衛星 しずく/マイクロ波放射計(AMSR2)

観測日時:7月8日13時56分頃(日本時間)

観測場所:沖縄本島付近

水色で示された領域が風速15 m/s以上の強風域を、黄緑色で示された領域が風速25m/s以上の暴風域を示します。発達した降水域に合わせ、濃い赤色で示された風速50m/s以上の猛烈な風を伴いながら、沖縄地方を通過していることがわかります。このとき気象庁の地上観測では、渡嘉敷島で53.0 m/s、那覇で50.2 m/sの最大瞬間風速を観測しました。

本画像は7月8日に掲載した画像の再掲です。

カラーチャートの赤い側ほど降水量が多く、赤色の箇所は1時間に25 mm以上の強い雨が降っていることを示します。

観測衛星/センサ:水循環変動観測衛星 しずく/マイクロ波放射計(AMSR2)

観測日時:7月9日2時3分頃(日本時間)

観測場所:奄美大島付近

この時間には台風本体の降水域はかなり崩れていて、台風の目は不明瞭になっています。台風そのものの降水域は台風の東側に限られていますが、その外側の九州に近いところで、降水域は発達し始めています。

降水量画像出典:JAXA/EORC台風速報

EORC台風速報ページでは常に最新の台風観測画像を公開しています。7月9日から全球降水観測計画主衛星(GPM)/二周波降水観測レーダ(DPR)の観測画像の公開を開始しました。

7月8日掲載画像

台風の降雨の動きを全球降水マップ(GSMaP)が捉えました。

2014年7月3日~7日の3時間毎のアニメーションです。

台風8号中心部では30mm/hr程度の強い雨を伴いながら日本に接近している様子が分かります。

観測衛星/センサ:「世界の雨分布速報」(GSMaP)*

観測日時:2014年7月3日0時から7日21時(日本時間、以下同じ)までのアニメーション

観測場所:日本付近

2014年7月3日0時から7日21時(日本時間、以下同じ)までの「世界の雨分布速報」(GSMaP)による降雨分布の動画です。GSMaPでは全球の降水の様子を1時間毎に公開しています。静止衛星の雲画像にTRMMやGCOM-W1等、複数の衛星で観測された降雨分布を合成して重ねていて、赤い色ほど強い降雨を示します。フィリピンの遙か東で、徐々に強い降水域がまとまってきて、はっきりとした目を伴って発達しながら沖縄地方に接近していく様子がよく分かります。

TRMM衛星とGPM主衛星が、同時に台風8号を観測しました。

観測衛星/センサ: 熱帯降雨観測衛星(TRMM)/降雨レーダ(PR)

全球降雨観測(GPM)主衛星/二周波降水レーダ(DPR)

観測日時:7月7日15時41分頃(日本時間)

観測場所:宮古島南海上

TRMM衛星とGPM主衛星は軌道が違うので、同時に台風を観測するのは非常に珍しいことです。非常にはっきりとした台風の目とその回りの「壁雲」と呼ばれる非常に強い降水域が見られます。また特に台風の南東~南側に赤い色で示される非常に強い降水域があります。どちらも30mm/hr程度の強い雨が降っていることが分かります。台風は反時計回りで中心に向かって風が吹いているので、日本に近づく台風は南側から暖かく湿った空気が中心に向かって入り込んでくるので、中心の南東~南側で強い雨が発達する傾向があります。

DPRは2月28日に打上げられたGPM主衛星に搭載されている二周波降水レーダで、降雨を立体的に観測することができます。
PRは熱帯降雨観測衛星(TRMM [トリムと読みます])に搭載されている降雨レーダです。DPRと同じように降雨を立体的に観測することができます。
TMIは熱帯降雨観測衛星(TRMM)に搭載されている降雨センサです。降雨を平面的に広く捉えることができます。

観測衛星/センサ: 熱帯降雨観測衛星(TRMM)/降雨レーダ(PR) 全球降雨観測(GPM)主衛星/二周波降水レーダ(DPR) 観測日時:7月7日15時41分頃(日本時間) 観測場所:宮古島南海上

この図はDPRとPRによる降水量と気象庁の静止気象衛星「ひまわり」の雲画像を合成したものです。円形に広がった雲の中に、目を中心に線状の降水域が反時計回りに何本もらせん状に連なっている様子が分かります。

台風8号の軌跡(左)と地表面降水量(TRMM/PR(中)とTMI(右)による) カラーチャートの赤い側ほど降水量が多く、赤色の箇所は1時間に25mm以上の強い雨が降っていることを示します。

観測衛星/センサ:熱帯降雨観測衛星(TRMM)/降雨レーダ(PR)

観測日時:7月7日15時41分頃(日本時間)

観測場所:宮古島南海上

「JAXA/EORC台風速報」ページでは、TRMM/PR/TMI、GCOM-W/AMSR2で取得したこのような台風の観測画像を取得することができます。

TRMM/PRによる高度2 km毎の水平降水分布(アニメーション)(左)と雲頂高度(右) 台風の目の周囲の壁雲の中では、10km以上の高度まで降水が観測されています。

観測衛星/センサ:熱帯降雨観測衛星(TRMM)/降雨レーダ(PR)

観測日時:7月7日15時41分頃(日本時間)

観測場所:宮古島南海上

左が地表面付近から高度10km付近まで、高度2km毎の断面図をアニメーションで示したもの、右が降雨の高さを示したもので、赤い色ほど高く発達した降雨を示しています。台風の目の周囲の壁雲や、東側の強い降雨域では、10km以上の高度まで発達している様子がよく分かります。

台風8号の降水分布

フィリピン東海上で観測したDPRによる台風8号の降水分布

観測衛星/センサ:全球降雨観測(GPM)主衛星/二周波降水レーダ(DPR)

観測日時:7月5日4時27分頃(日本時間)

観測場所:フィリピン東海上

この時間は台風8号がまだ発達途上でフィリピンの東海上にあり、雲の形はまだはっきりとした円形にはなっていませんが、降水ではすでにはっきりとした目と、その回りの壁雲が明瞭になっていることが分かります。

DPRによる線ABに沿った鉛直降水分布

カラーチャートの赤い側ほど強い降水を示します。

観測衛星/センサ:全球降水観測(GPM)主衛星/二周波降水レーダ(DPR)

観測日時:7月5日4時27分頃(日本時間)

観測場所:フィリピン東海上

DPRの軌道に沿った線ABで切った降水の鉛直断面を示します。点Aから750 km~800km付近に無降水域があり、ここが台風の目に当たります。そのすぐ両脇に非常に強い降水域として壁雲が現れていることが分かります。この降水域は高さ15kmまで一気に発達していて、まさに壁となって目の周りに存在しています。またその左側は一律に雲が広がっているわけではなく、何本も強い降水域が発達している様子が分かります。

台風8号に伴う暴風域・強風域の分布を捉えています。観測データから、台風8号は最大で風速50m/s以上もの猛烈な風を伴いながら、日本に接近していることがわかります。

GCOM-W、熱帯降雨観測衛星TRMMなどが観測した各種台風画像・データは「台風速報ページ」にてリアルタイムでご覧いただけます。

また、GCOM-Wの観測データは観測後速やかに気象庁へ伝送され、数値天気予報や台風進路確定等の用途に用いられており、気象防災に貢献しています。

世界の雨分布速報:

「世界の雨分布速報」では、世界の雨分布を準リアルタイム(観測から約4時間遅れ)で1時間ごとに、複数の静止・極軌道気象衛星と地球観測衛星の放射計やサウンダー(TRMM TMI, GCOM-W AMSR2, DMSP SSM/I, DMSP SSMIS, NOAA-19 AMSU, MetOp-A AMSU, GEO IR)のデータを一体的に利用して提供しています。なお、背景の雲画像には、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)の作成による全球雲データを利用しています。このデータは気象庁の静止気象衛星ひまわり(MTSAT)、米国海洋大気庁の静止気象衛星(GOES)、欧州気象衛星機関(EUMETSAT)の静止気象衛星(Meteosat)のIR情報を利用しています。