LバンドSAR(PALSAR)による森林監視
図1:Lバンド合成開口レーダが捉えたアマゾンでの10年間の森林伐採の様子。(左)1996年にふよう搭載SARで得られたアマゾンの画像。(右)2006年のだいち搭載PALSARで得られた同じ場所の画像

©METI, JAXA

図1: Lバンド合成開口レーダが捉えた、アマゾンでの10年間の森林伐採の様子。
(左)1996年にふよう搭載SARで得られたアマゾンの画像。
(右)2006年のだいち搭載PALSARで得られた同じ場所の画像。 (クリックで拡大画像へ)

熱帯地域の天然林は、年間1420万haのペースで減少していると言われていますが、図1は、実際にアマゾンで10年間に行われた森林伐採の様子を示した衛星画像です。この画像では、灰色に見える場所は森林を、黒く見える場所が、森林が伐採されて空き地になった場所を示しています。1996年に得られたふよう搭載SAR画像(図1(左))に対し、2006年にだいち搭載PALSARで得られた同じ場所の画像(図1(右))を比較してみると、森林の量が激減している様子がよく分かります。



図2は、SARで地上を観測する様子を示した概略図です。SARのアンテナから出力され、森林で散乱された電波の一部は、再びアンテナの方向に戻るため、森林部はSAR画像で明るく見えます。一方、裸地や水面は、鏡のような反射が起こるため、SAR画像で暗く写ります。合成開口レーダは、昼夜や天候を問わず地表の様子を撮像する事ができるため、雨が多いアマゾンや東南アジアでも、効率よくデータを取得する事ができます。その中でも特にLバンドSAR(波長:23cm付近)は、CバンドやXバンドに比べ、地表の細かい凹凸の影響を受けにくく、森林部と空き地をよく区別する事ができることから、森林のモニターに適しています。

図2: SARで森林と裸地を見た時の違い

図2: SARで森林と裸地を見た時の違い


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図3は、1996年にふようSARで取得されたデータを用いて作成された、アマゾン全体のモザイク画像です (図中で真っ黒な部分は、データ取得が出来なかった部分)。図の上下に見える帯状の部分は、SARがその場所付近の上空を通る時に撮影することが出来る範囲(観測幅)を示しており、ふようSARの場合には、75kmになります。JAXAでは今後、PALSARのデータを用いて同様な広域モザイク画像(全球森林図)を作成することで、図3で見られたような森林伐採域が、どのように変化しているかを示すなど、衛星画像を通して環境問題に貢献していきたいと考えています。

図3:1996年にふようSARで取得されたアマゾンの画像。図中の黒い部分はデータ取得ができなかった場所。拡大部分は、森林伐採がよく行われている場所 図3:1996年にふようSARで取得されたアマゾンの画像 図3:拡大部分(右) 図3:拡大部分(左)

JAXA Logotype JPL Logotype JRCies Logotype ASF Logotype

図3: 1996年にふようSARで取得されたアマゾンの画像。
図中の黒い部分はデータ取得ができなかった場所。拡大部分は、森林伐採がよく行われている場所。 (クリックで拡大画像へ)

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