防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるパキスタンの大雨の緊急観測結果(4)

2010年7月末以降の記録的な大雨によりパキスタン国内で発生した洪水領域とその広がりの時間的な経過について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)を用いて継続的に観測を行ってきました。被害領域は、これまでの画像から非常に大きいことが確認されていますが、今回は、同衛星搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)の広観測域モード(ScanSARモードで観測幅350kmを持つモード)を用いて、インダス川を覆うように2010年8月5日から8月29日までに観測した画像データを組み合わせて作成した洪水後のモザイク画像(6パス貼り合わせ画像)と2010年6月27日から2010年7月19日観測された洪水前のモザイク画像(6パス使用)とを比較して、洪水領域の広がりを確認しました。

図1は、モザイク画像による変化抽出画像です。この画像は大雨前(洪水前モザイク画像)を赤色に、大雨後(洪水後モザイク画像)を緑色と青色に着色してカラー合成したものです。 大雨後に暗くなった箇所は赤色に、明るくなった箇所は水色にみえます。SARでは水面など平坦な面は暗く写る傾向にありますので、冠水後の河川流域は暗く写ることが予想されます。本画像は1500km四方の変化を抽出した事例であり、この画像よりインダス川流域の広い範囲にわたって冠水している事が推測されます。 なお、図2に今回モザイクを作成した領域を示します。
図1: 洪水前後のPALSAR ScanSARモザイク画像の比較
図1: 洪水前後のPALSAR ScanSARモザイク画像の比較 (R: 洪水前モザイク画像、GB: 洪水後モザイク画像) (クリックで拡大画像へ)
図2: 全体図
図2: 全体図 赤枠は図1で示すモザイク画像作成領域を表します。

今後は、さらに、復旧・復興に向けて、様々な国際活動が展開されることになりますが、JAXAは、アジア開発銀行(ADB)との協力枠組み(LOI)に基づき、観測データをADBに提供いたしました。
ADBは、世界銀行(WB)、欧州委員会(EC/Joint Research Center)、国連(UNOSAT)と連携して、リモートセンシングや地理空間情報システムを活用して、復旧・復興に向けた調査プロジェクトを進めていくために、パキスタン宇宙高層大気研究委員会(SUPARCO)を支援していくこととなります。

©JAXA EORC